研究課題/領域番号 |
19K04159
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研究機関 | 鶴岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
上條 利夫 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00588337)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | イオン液体 / ポリマーブラシ / トライボロジー / マイクロテクスチャ / ナノテクスチャ / ポーラスアルミナ |
研究実績の概要 |
これまで重合性官能基を有するイオン液体に表面開始リビングラジカル重合の技術によりイオン液体型濃厚ポリマーブラシ(ILPB)を作製し,良溶媒となるイオン液体中で分子レベルに平滑なシリカ表面と組み合わせることによってマクロスケールで摩擦係数0.001オーダーの超低摩擦特性が発現することを初めて見出した。本申請研究では,平滑対抗面に表面修飾(有機)・マイクロおよびナノスケールのテクスチャリング材料(無機)を複合したハイブリッド表面を用いた摺動システムの創製を開発目標としている。本年度は,ハイブリッド構造の基礎基板となるナノポーラステクスチャ基板とマイクロサイズパターニングテクスチャ基板を作製した。ナノポーラステクスチャ基板はアルミニウムの陽極酸化によって直径40 nm~200 nmのポーラスサイズを電解液に使用する酸の種類,印加電圧,印加時間によって,細孔サイズ,細孔間隔を数十nmから数百nm間隔で制御できる技術を確立した。マイクロサイズの基板では,金属基板にレーザー加工機を用い,各サイズにおける電流値,周波数,マーキング速度を調整することで数百μサイズにてサイズ制御ならびに細孔間隔の制御ができる技術を確立した。現在は,作製したマイクロテクスチャならびにナノポーラステクスチャ基板にポリマーブラシを形成させる技術も確立し,作製した基板の摩擦特性を調査している段階にあり,テクスチャサイズによる低摩擦特性に違いがあることを確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無機材料基板となるナノポーラステクスチャ基板とマイクロサイズパターニングテクスチャ基板のサイズ制御技術が確立でき,その基板にイオン液体型濃厚ポリマーブラシ(有機)を形成させ,ハイブリッド表面を作製する技術を完成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロポーラステクスチャならびにナノポーラステクスチャのハイブリッド表面の摩擦試験の結果からストライベック線図を取得し,テクスチャ効果の及ぼす摩擦特性の関係を明らかとし,低摩擦特性の発現する速度領域を提示することによって,本システムの有効な実機システムを提唱する。
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次年度使用額が生じた理由 |
高額な消耗品として計上していたイオン液体が他の研究プロジェクトで購入したもので補うことができたこと,ならびに参加予定の国際会議がコロナウイルスの影響でオンライン開催となったため出費が抑えられ次年度に繰り越しになった。これらの費用は,今年度の研究を加速させられるよう大学への出張や依頼測定,研究成果発信のための学会参加費,研究アドバイスを頂ける研究者との交流のための旅費に充てる予定である。
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