研究課題/領域番号 |
19K04165
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研究機関 | 滋賀文教短期大学 |
研究代表者 |
河村 哲也 滋賀文教短期大学, その他部局等, 研究員(移行) (40143383)
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研究分担者 |
桑名 杏奈 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (00624628)
齋藤 文 成蹊大学, 理工学部, 助教 (00837510)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 海流発電 / 流体シミュレーション / 複数配置 / 回転装置 |
研究実績の概要 |
前年度に海流発電に適した回転装置の代表例として主として垂直軸抗力型のS字型回転装置をとりあげ、近接して2台設置された場合の相互作用に着目して数値シミュレーションする手法を開発した。このことを受け、本年度はS字型より効率のよいサボニウス型(円筒を2つに割って重なり部分をもつようにつなげたもので重なりがないとS字型になる) に着目した。2つの回転装置は形状は似ているものの、差分格子は別の方法で行う必要があったため、S型での経験を踏まえて新たな発想で、重なり部分も問題なく表現できる格子を考案した。このことにより従来のS字型の格子で見つかったいくつかの問題点(2つのブレードを結ぶ線上で格子が一致せず、格子幅にもアンバランスが生じる問題、2つの風車の間隔を縮めると格子がいびつになり計算できない問題)を克服することができた。この格子を用いて、前年度開発した方法(非圧縮性ナビエ・ストークス方程式を2つの独立した回転系と、外部領域における静止座標系で、データのやり取りを行いながら計算する手法)を用いてシミュレーションを行った。そして、サボニウス風車の重なり部分の長さ(オーバーラップ比)や周速比、2つの回転装置間の距離、流れの角度を変化させて系統的にデータ収集を行った。 もうひとつの海流発電用回転装置の可能性として、前年度とりあげてテストプログラムも作成した、水平軸まぐろ型回転装置(ずんぐりしたロケット形状の回転装置)に対するシミュレーションに対しても、性能に関連するパラメータを系統的に変化させて、回転装置のパワー係数に及ぼす影響を調べた。その結果、特に有効な知見として、回転装置の胴体に取り付けるブレードの傾斜角が、ロケットのように下側に傾けるより、上側(流れに対して上流側)に傾ける方が得られるパワーが大きいということがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サボニウス型回転装置の相互作用を見積もることができるプログラムが完成し、回転装置の効率に関係するパラメータを系統的に変化させてシミュレーションを行い、実用上有用と考えられるデータを得ることができた。このプログラムは3つ以上のサボニウス風車が独立に回転する場合にも拡張が簡単であるため応用範囲が広い。まぐろ型の回転装置に対しては前年度開発したプログラムを用いブレードの枚数や高さ、取り付け角、傾斜角など、トルクやパワーに影響を及ぼすと考えられるパラメータを系統的に変化させて回転装置の形状の最適形状をみつけることができた。研究発表(令和2年度の研究成果)の欄にも記したとおり、研究論文、学会発表、図書の数も妥当な水準にある。以上のことから本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度はサボニウス型回転装置に着目し、シミュレーションに適した格子生成法を確立し、2台の回転装置が近接しておかれた場合について詳しく調べた。この研究で用いた方法は原理的にサボニウス型回転装置がが何台あっても適用できるため、今後は3~9台程度に台数を増やしてシミュレーションを行い、下流側の回転装置に対する影響を調べ、何台配置するのがよいかを明らかにする。さらに、現在は、複数台の回転装置の回転速度は、それぞれ独立に変化させることができきるものの、計算ではその値をあらかじめ指定している。そこで、各回転装置に対して運動方程式に基づいた簡単な自己回転のモデルをつくり、回転速度を流れから決める形にして、現実の状況に近づける。また、サボニウス型回転装置では端板もパワーなどに大きな影響を及ぼすため、その効果を見積もるため、計算法を3次元に拡張してシミュレーションを行う。まぐろ型に対してはブレードをいろいろ変化させた場合の結果が令和2年度に得られたので、胴体部分の形を変化させて影響を調べる。直線翼回転装置については、重合格子を利用する予定で、動く物体に対する重合格子の応用は、CFDの見地からも興味ある問題であるため、基礎的な研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の拡大により学会(国内外)へ行く機会が減少したため.
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