研究課題/領域番号 |
19K04166
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
木綿 隆弘 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40225107)
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研究分担者 |
河野 孝昭 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (90630921)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 長方形噴流 / 受動的制御 / テーパ短管 / 能動的制御 / プラズマアクチュエータ / 流体計測 / 数値流体解析 / 渦構造 |
研究実績の概要 |
長方形噴流は様々な機器に用いられているが、軸のスイッチング現象のために、噴流の断面形状は長軸と短軸が入れ替わり、三次元的に変形する。この原因は、ノズル角部から発生する渦糸の非一様曲率に伴う自己誘起速度の不均一性に起因する。本研究では、「テーパ短管を用いた受動的制御による方法」と「プラズマアクチュエータを用いた能動的制御による方法」で長方形ノズルの角部付近から発生する渦の強さを弱めて、下流域まで長方形噴流の形状が維持される高性能ノズルを開発する。 1年目は、アスペクト比2の長方形ノズル内部の三角形テーパ短管を有するノズルを設計し、3Dプリンターを用いて製作し、四隅のノズルの面積割合、短管長さなどを変化させて、長方形噴流の3次元的流れ場を熱線プローブと可視化実験を行い、渦構造と広がりの関連を調べた。 その結果、(1)テーパ短管を有する長方形噴流はテーパ短管無し噴流と比較してポテンシャルコア長さが増加したが、以前に同様な実験を行った両辺タブ付き長方形噴流と比較してポテンシャルコア長さの増加量は変わらなかった。(2)テーパ短管を有する長方形ノズルからの噴流の全体的な広がりを表す等価半値半幅(y1/2・z1/2)^0.5/H(H:ノズル高さ)は、x/H>10の下流域において、テーパ短管無し、縮小偏向板、両辺タブ付きの長方形噴流と比較して最も小さくなることを明らかにした。これらの結果より、ノズル角部に設置した三角形のテーパ短管は長方形噴流の広がりを抑制させる受動的制御方法の1つとして有効な手段であると考えられる。 以上の結果は、3月に日本機械学会北陸信越支部総会講演会で発表し、10月の31st International Symposium on Transport Phenomenaにて報告する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目は研究の立ち上がりでもあり、準備に時間を要したが、ワイヤー切断機を使用するよりも、秋ごろに研究室に導入した3Dプリンターを使用した方がノズルの改良を行うことが容易になり、年度後半になってノズルの形状パラメータを自由に変更でき、いろんな条件でデータを取得して、現在整理している。さらに、数値流体解析に関しても、計算格子の制作が終わり、本計算が行える状態になってきていることから、LESによる非定常乱流計算であるため十分な乱流統計量のデータを得るために時間がかかっているが、近いうちに結果が出てきて来ると考えている。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、連続駆動DBDプラズマアクチュエータ付きノズルによる長方形噴流の能動的拡散制御条件の解明を行う。具体的には、テーパ短管付きノズルの受動的制御方法でスイッチング現象が起きにくかった実験結果を基にして、アスペクト比2の長方形噴流のどの辺の領域の流速を速くすると、効果があるかを予測する。その制御条件に近い流れをDBDプラズマアクチュエータによる連続駆動による流れを長方形ノズルの角部付近や、直線部中央付近に形成させて、プラズマアクチュエータの設置位置(長さ)と印加電圧の強さ(速度)の影響を調べる。噴流出口速度は、テーパ短管と同程度の速度に近い流速で行うが、プラズマアクチュエータからの誘起速度があまり大きく出来ないため、レイノルズ数が10,000程度までの噴流を対象として調べる。並行して、同じ境界条件で、LESを用いた3次元乱流数値流体解析も実施し、渦構造変化と長方形噴流の広がりの関係を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
ノズル製作用の材料費が予定より安くなったため151円の残金が発生した。 次年度のプラズマアクチュエータの製作費に当てる。
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