研究課題/領域番号 |
19K04167
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
真田 俊之 静岡大学, 工学部, 准教授 (50403978)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 気体排出 / 固有振動数 / 音波 |
研究実績の概要 |
先端を封じた細孔からの完全な気体の排出を目的として、水中にキャピラリー長より小さなアスペクト比の大きな孔を有する実験サンプルに対して周波数が一定もしくは周波数が時間変化する音波を照射し、その気体排出について調査した。まずは気柱の振動に着目し、バネ質量系のモデルによって、液体中の気柱の見積もりを行った。次に実験装置を構築し、その後音波照射時の現象について、高速度カメラによる可視化撮影を行った。その結果、周波数が一定の音波を照射した場合には、気体排出率は照射周波数に依存し、固有振動数付近で大きな振動が確認された。しかし最も高い排出が行われた周波数であっても完全な気体排出は達成されなかった。一方で、周波数が時間変化する音波を照射した場合には、わずか10秒程度の照射によって完全な気体排出が達成されることを確認した。 次に、気体排出過程について詳細観察を行った。その結果、完全な気体排出が観察された条件では、孔内の気体は3段階の過程を経て排出された。第1段階では、気体は気液界面からの気泡発生または気柱の分断に伴って排出された。第2段階では、孔内部の気柱が複数個に分裂し、それぞれが準静的に体積振動するのみであり排出はほとんど行われなかった。そして第3段階として、分裂していた気柱が1つに合体した後に排出された。また排出時の照射音波の周波数と細管内の気泡の固有振動数の文献値を比較した結果、両者は近い値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
限られた条件ではあるが、音波の照射によって液体中の微細孔からの気体排出に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
気体の完全な排出現象を確認したが、再現性確認のため数十回実験を行うと、おおよそ半分程度の実験で完全な排出を確認するものの、残りの半分では排出途中でより多くの気泡に分裂してしまい、排出が途中で停止してしまった。また試験を行った微細孔の直径も一種類であり、様々な管径およびアスペクト比で実験を行う必要がある。よって、まずは、排出が失敗する際の現象を捉えその理由を明らかにすること、さらに様々な条件で試験を行い、本手法の適用範囲を明らかにすることが、今後の方針となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、学会の中止や一部の実験の予定変更が発生し次年度使用が生じた。
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