研究課題/領域番号 |
19K04170
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
田中 洋介 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 准教授 (80509521)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 2波長位相回復ホログラフィ / 位相反転 / 記録位置シフト / 並列計算 / GPU |
研究実績の概要 |
年内の機材導入計画通り、Arレーザーの機材を予算使用可能になった5月中旬に発注して9月上旬に納品になった。その後は仕様確認や設置台製作や運用のための工事をおこない10月上旬に滞りなくシステムの立ち上げが完了した。 上記の通り実証に必要なレーザーの納品に時間がかかるため、並行して本研究の核となる2波長位相回復ホログラフィの原理について、詳細な数値検証と計測精度の光学解析をおこなった。その結果、11月上旬に適切な撮影設置条件が明らかになり、本手法の理解が大幅に深まった。残念なことに年度末に議論を予定していた講演会が新型コロナウイルス感染症のため中止になった。 19年度に計画していた原理実証実験は、10月中旬から行い数値検証と光学解析結果を実験結果と随時比較検討することで行った。11月下旬には概ね事前の検証の通りに実験結果で原理実証を完了できた。やはり、非線形の影響がない線形が主な回折理論が原理の基礎となっているため、事前検証と実験結果の一致が高いと再認識した。 通常の1波長位相回復ホログラフィに比べて、本研究で用いる2波長位相回復ホログラフィは少なくとも2倍以上の計算量が必要となる。前年度から取り組んでいたGPU並列計算による高速計算を本手法に取り入れることが次年度以降の研究に必須要件であった。基礎となる1波長位相回復ホログラフィについて、7月の国際会議で得られた結果を議論し、100倍の高速化を示すことができた。その後、年内中に2波長位相回復ホログラフィに適用し、GPUのメモリ管理などの工夫は必要であったが、無事に実装して高速化を実現できた。 また、派生研究として生物分野への適用を考慮したプランクトンの観察を行っている。1波長の位相回復ホログラフィで、ミジンコの3次元空間での遊泳を観察できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りにArレーザーの立ち上げと実証実験が完了し,並行してGPU並列計算による高速処理が可能となったため.
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今後の研究の推進方策 |
2波長位相回復ホログラフィの原理の実証が完了したので、成果の速やかな論文公表が必要となっている。また、学会での議論によりさらなる本手法の理解と応用分野を拡張する。また、次年度は相転移に伴う屈折率計測を行うための、数値計算、光学解析、実験の基本的な整備をおこなう。 懸念材料として、新型コロナウイルス感染症があげられる。3月末から6月上旬まで研究活動が大幅に制限された。今後の動向も不明であるが、実験に自動化システムを導入したり、テレワーク環境の整備で今後の研究を実施していく必要がある。
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