昨年度位相回復ホログラフィ法で得られた位相情報でドライアイス周囲の温度場計測を行ったが、本年度は利用範囲を粒子検出へ拡大した。特に3次元微粒子位置検出の高精度化を位相回復ホログラフィにより実施した。2波長それぞれにおいて位相回復ホログラフィで位相情報が得られるため、長波長の位相情報を合成できる。そこで、微粒子位置付近で大きく反転する位相に適用して、1波長では反転箇所で振動していた位相を反転しない条件で数値検証を行った。得られた結果から合成波長による反転がない位相分布を得ることが確認できた。 さらに、3次元微粒子位置検出の高精度化を位相回復ホログラフィにより数値検証を行った。今回は画像処理で広く用いられる大津の方法を用いて従来法との比較を行っている。得られた結果から従来法より再生体積中の粒子密度が高濃度になっても安定した検出が可能であることを確認できた。この結果を受けて矩形断面のマイクロチャネル内の3次元速度場計測について数値検証も行った。自己組織化マップを応用して3次元速度場を求め、多項式近似で得られた速度場の解析解と比較した。その結果従来のGaborホログラフィ法と比べて精度が約8倍向上した。実験での比較のためマイクロチャネルの製作やシリンジポンプなどの準備が完了しており、1波長、2波長それぞれで位相回復ホログラフィ法の実施を始めている。また、本手法の工業利用について解説記事を執筆し、GPUによる並列計算や撮影条件の詳細と、観測システム構築の具体的な例をまとめた。
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