研究実績の概要 |
本研究の目的はマイクロ流路およびミニ流路内の気液二相流流動特性に及ぼす非ニュートンレオロジー特性、および特異点の影響を明らかにすることである。そこで、まず特異点がない直管部の流動特性を調べるために、内径0.25mmの円形流路および水力直径が0.5mmの矩形流路を用いた実験と解析を行った。液体にはニュートン流体として水、グリセリン水溶液を、非ニュートン流体として分子量の異なる3種類の高分子水溶液を用いた。高分子剤として分子量が低い順にカルボキシメチルセルロース化(分子量 約250,000)、キサンタンガム(分子量 約2,000,000)、ポリアクリルアミド(分子量5,000,000 ~6,000,000)を用いた。なお、供試気体には窒素ガスを用いた。液単相流実験では高せん断速度領域において圧力損失のデータを得た。二相流実験では、気泡の速度、気泡と液塊の長さ、圧力損失を求めた。その結果、次の事項が明らかとなった。 ・高分子水溶液の単相流の圧力損失は、高せん断速度で得られた擬塑性粘度と構造粘度指数を用いた一般化レイノルズ数で整理できる。 ・分子量の大きい高分子水溶液のみ気泡の接触・合体する特異な現象が観察された。 ・気泡の速度は概ねドリフトフラックスモデルで整理できることが分かった。ただし、そのモデルに含まれる分布定数に高分子溶液の粘弾性の影響を考慮しなければならいことが示唆された。 ・液体の平均速度の増加に伴い、二相圧力損失勾配が増加した。液体の有効粘度と二相圧力損失には相関がある。 ・ユニットセルモデルを用いて二相圧力損失を整理できる可能性があることが分かった。ただし、正確に予測するには、気泡通過後の後流及び液体の弾性を考慮に入れる必要がある。
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