研究課題/領域番号 |
19K04175
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
白鳥 英 東京都市大学, 理工学部, 講師 (10803447)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Neural Network / 自動微分 / データ同化 / 物性値予測 |
研究実績の概要 |
様々な微細加工プロセスで発生する種々の膜厚ムラを回避抑制するための最適条件を数値シミュレーションによって効率的に探索できるようにすることを最終目標としている。従来の方法で課題であった①時間発展計算に時間を要すること、②計算に必要な塗膜の物性値の測定・入手が困難なことを解決するために、①支配方程式を教師とした機械学習を導入して高速に膜厚ムラを予測する枠組みを構築し、②これをもちいた新たなデータ同化法を構築して塗膜の物性値を効率的に推定できるようにすることを目指している。 初年度である2019年度は、空間4階微分を含む液膜流れの支配方程式に対してPhysics-Informed Neural Network(PINN)を適用し、有効に機能することを示した。このPINNを用いた新たなデータ同化法を提案し、塗膜の物性値予測の問題に対して有効性を検証した。 本年度は、PINNの拡張と複数物性値の同時推定に取り組んだ。従来のPINNでは初期条件を変えた場合は再学習が必要であった。この点は、データ同化への応用を鑑みると致命的な課題である。本研究では、初期条件をPINNの入力データとして取ることで初期条件可変なPINNを構築した。初期条件のデータを直接入力に取るとデータ量が膨大になるため、Convolutional Auto-Encoderを用いて次元削減した情報をPINNの入力に取る設計とした。この次元削減した識別子について、PINNが適切に学習可能となる要件を調査した。 データ同化による塗膜の物性値予測においては、粘性係数と表面張力の2物性値を同時に推定できるように拡張し、双子実験によって妥当性を検証した。 研究成果は学術雑誌、および国内学会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究計画に2019年度実施内容として記載した、液膜流れの方程式へのPhysics-Informed Neural Networkの適用については予定通り進んでいる。また、データ同化による塗膜の物性値推定についても、根幹部分の理論構築と双子実験による妥当性検証は滞りなく進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
液膜流れへのPhysics-Informed Neural Networkの適用については、学習に要する計算時間が課題になっている。現在検討中の空間1次元の問題でも数十時間を要するため、実用的な2次元・3次元問題に適用するには学習の効率化が不可避である。学習を効率化しうる候補として、Convolutional Neural Network(CNN)等のネットワーク構造を用いることが考えられる。PINNでは自動微分によって時間・空間の導関数を評価しているが、局所的な時間・空間における導関数の評価の際にネットワーク全体を参照する必要がある。一般的な全結合層を用いたネットワークではこの計算に要する時間が膨大になる。CNN等の導入により層毎の結合を軽量にすることで、自動微分に要する時間短縮を狙う。 PINNを用いたデータ同化法による物性値予測については、今年度までの研究で複数物性値の同時推定が原理的に可能であることまでは検証した。次年度は実観測データを用いた検証を行うために、測定系の構築に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響で、国内・国際学会がオンライン開催になり、旅費の支出が予定より大幅に少なくなった。また、感染拡大防止の観点から、データ同化による物性値推定の検討における実観測用の測定系の構築を次年度に行うことにしたため、物品費の支出が少なくなった。 2020年度に使用しなかった分は、使途は変更せずに2021年度に使用する計画である。
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