研究課題/領域番号 |
19K04194
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
太田 光浩 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (00281866)
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研究分担者 |
岩田 修一 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (00293738)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 気泡上昇運動 / マイクロスケール / 自己組織構造 / 粘弾性 |
研究実績の概要 |
アルカリ溶解性会合高分子(HASE)水溶液を上昇する気泡では,HASE水溶液の粘弾性効果により気泡底部から様々な伸長形状が形成され,伸長形状部でマイクロスケールの自己組織構造が発現する.マイクロスケールの自己組織構造は常に発現するとは限らず,HASE水溶液のレオロジー物性,中和に用いるアルカリ物質や気泡サイズに依存する.本年度はアルカリ物質としてNaOHを用いpH=9に調整した0.7,2.1および5.1 Pa・sのゼロ剪断速度粘度を持ったHASE水溶液を用いて,気泡から発現する伸長形状およびマイクロスケールの自己組織構造の立体構造について詳細に調べた. 0.7 Pa・s のゼロ剪断速度粘度のHASE水溶液中を気泡の場合,気泡径が小さいと1本の円筒状の糸形状が気泡底部から形成され,気泡径が大きくなるにつれてマイクロスケールの魚の骨状の自己組織構造を持った平面状の形状へと遷移した.気泡底部の形状やマイクロスケールの自己組織構造を側面から観察すると,自己組織構造の形成は確認できず,三次元的な構造を有していないことが分かった. 2.1 および 5.1 Pa・sのゼロ剪断速度粘度のHASE水溶液中の気泡では,気泡径が小さいと1本の円筒状の糸形状が気泡底部から形成され,気泡径が大きくなるにつれて複数本に枝分かれした形状が気泡底部で形成した.複数本に枝分かれした形状は平面状になっており,枝分かれした個々の糸状部分でマイクロスケールの自己組織構造が形成された.気泡底部の形状やマイクロスケールの自己組織構造を側面から観察すると,この場合も,自己組織構造の形成は確認できず,三次元的な構造を有していないことが分かった. 当初の計画より早くHASE水溶液中を上昇する液滴運動の実験を開始し,気泡運動とは全く異なり,高粘性系では液滴底部からは1本の円筒状の糸形状しか発現しないことを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レオロジー特性,気泡径,流動条件と気液界面にて発現する伸長形状および自己組織構造の三次元構造との関係を予定通りに調べることができ,計画通りに研究が進展している.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通りに,引き続きマイクロスケールの自己組織構造の発現に焦点を当てて実験を行う.今後は,特に特徴的な伸長形状および自己組織構造が出現する瞬間から焦点をあて,時間発展過程について詳細観察を行う.また,液々系において気液系で見られた現象が発現するかを調べる.気液物性の差に比べ,液々物性は差が小さいために,気液界面で観察された現象とは異なった現象が観察されると予想される.気液系で行った観察・考察(全体形状の特徴,伸張形状・自己組織構造の形成や構造等)を液々系でも行う.気液系と液々系の現象の相違を明確にし,両結果から,伸長形状および自己組織構造の普遍的な形成メカニズムを考察する. 令和元年度に得られた成果を 国際会議と国内学会にて発表する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:気泡観察実験装置,装置輸送費および実験消耗品が3月に納品となり,支払いが完了していないため. 使用計画:これらの支払いが4月に完了する予定である.
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