縮小拡大管に混相流を流すことで生じる管内の特徴的な流動構造の解明と微粒化メカニズムとの相関を明らかにすることを目的に研究を実施した。 2021年度はキャビテーション現象と気泡崩壊現象の解明について実験を進め、水の溶存ガス濃度を変化させた場合のマイクロバブル崩壊現象を比較した。6.5mg/Lと8.5 mg/Lの溶存酸素濃度(DO)を使用し、計測を実施した。いずれの溶存酸素濃度においても気泡の分裂のメカニズムは概ね同じであったが、液体速度が速いほど、気泡の分裂過程で気泡表面に多くの「しわ」が発生することが示された。バルクキャビテーション数および圧力損失係数を計算した結果、同じバルクキャビテーション数であれば、DOが高いほど圧力損失係数がわずかに高くなることがわかった。一方、気泡数分布の結果から、液速度が速く、空気流量比が低く、DOが高い方がより多くの微細気泡を発生させることが示された。 研究期間全体を通しては、固体粒子の微粒化について、天然由来の土コロイドであるアロフェンを用いた。ベンチュリ管通過後のアロフェン径計測、管内アロフェンの微粒化挙動の詳細な可視化を行った結果、アロフェンは流速の増加に伴い微粒化されることを確認した。また、気泡の崩壊時に発生する圧力波がアロフェンの微粒化に寄与している可能性が示された。微細化されたアロフェンと気泡のゼータ電位計測を行い、Sauter平均粒子径の減少に伴い、アロフェンのゼータ電位が上昇することを明らかにした。 気泡の微細化については、ベンチュリ管内の気泡崩壊挙動の可視化観察とキャビテーションの評価手法を検討することによって、キャビテーションの発生と圧力損失係数の増大に相関関係があることを明らかにした。また、高流速条件においては音波が下流へと伝播することが明らかになった。またこの音波は、気相流量比の増加により減衰することが分かった。
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