研究成果の概要 |
多孔質の機能を活用して, 熱源からの熱のみにより, 液体燃料から水素を連続発生させるパッシブプロセスにおいて, 処理量の増大とともに必要な多孔質層厚さが大きくなると, 乾燥域(反応域)に比べ温度の著しく低い液相域や気液二相域が上部の乾燥域内部に入り込み, 反応収率が大きく低下することが想定される。本研究では, 層径の増大により二次元分布が顕著となる過程を基礎的実験により把握し, 併せて現象に即した物理モデルに基づく検討を行うことにより, プロセス効率を低下させることなくスケールアップするための設計の指針を得ることを目的として研究を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の提案プロセスは, 加熱蒸発により増進される毛管力により多孔質粒子充填層触媒反応器内に誘起される原料供給と生成物排出の流れを利用して, 液体燃料から水素をパッシブに発生させるものであり, 既存の機器・設備等に密着設置でき, 機器の廃熱を燃料の加熱・蒸発・反応に利用できる。燃料電池などの燃料の改質, 燃焼に伴うエクセルギー損失の低減, 廃熱による水素生産, エネルギー変換器の化学再生すなわち一種の化学増熱による高効率化など, エネルギー技術の発展に寄与するものと考えられる。
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