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2019 年度 実施状況報告書

金属箔ベルト法を用いたTBABセミクラスレートハイドレートの生成

研究課題

研究課題/領域番号 19K04213
研究機関金沢大学

研究代表者

寺岡 喜和  金沢大学, 機械工学系, 准教授 (10365025)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード結晶成長 / TBAB水和物 / 凝固
研究実績の概要

TBAB水溶液から水和物を得る金属箔ベルト生成装置実験の予備的な実験として,まず初めに,平行平板間における凝固の観察実験を行った.この実験方法は過去にいくつかの報告がなされているものの,本研究では比較的,広範な濃度,温度条件下で実施した.実験は,平行なガラス2平板0.5または1.0mm間に満たされたTBAB水溶液を凝固点以下の所定の温度にし,種結晶を導入することで水和物結晶の生成を開始し,その成長形態を一定時間間隔で撮影した.その際,温度,濃度,種結晶導入方法を変えることで,異なる2種類の結晶を選択的に生成させることが可能であることを確認した.
また,得られた観察結果から,温度,濃度,結晶種別により,成長形態が大きく変化することを示し,その形態を分類することで,成長挙動について議論した.
さらに,得られた観察画像から結晶成長速度を測定し,温度,濃度,結晶種別との関係を明らかにした.その結果から,初期濃度凝固点と成長開始時の温度の差,つまり過冷度のべき乗に比例して増加し,濃度による影響は比較的小さいことを示した.これは,他の水やパラフィン系の物質の凝固と類似の傾向である.一方で,高過冷度域では,成長速度の増加が鈍化するというTBAB水和物特有の現象を確認した.また,同過冷度での比較において,タイプA結晶は水の成長速度の3桁程度低くなり,タイプB結晶はそれよりもさらに遅くなる傾向を持つことを確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TBAB水溶液の水和物生成において,金属箔ベルト生成装置の予備的な実験としてガラス2平板間の凝固実験を実施した.従来の研究と比較して広範な温度条件で実験を行うことで,結晶の成長形態が多様であることを確認し,2種類の結晶を選択的に生成する技術を確立したことで結晶成長における結晶種の差異について議論した.これらの結果は,計画当初は想定していなかったものの,本研究課題の本質的な目的であるTBAB水和物結晶の「結晶成長速度の検証」と「成長メカニズムの解明」に資する重要な成果である.
一方で,前述のガラス2平板間の凝固実験のエフォートが増加したこと,また新型コロナウィルスによる研究活動自粛により,現段階において,金属箔ベルト生成装置による実験には当初計画より数ヶ月程度の遅れが生じている.しかし,装置の大部分の製作は完了し,試運転も行っていることから,今後障害となるような不確定要素は少なく,これ以上の遅延が生じる可能性は低いと考えられる.
以上の2つの実験の成果と遅延により,全体的な計画の進捗は順調であると判断した.

今後の研究の推進方策

当初計画とは若干異なるものの,ガラス2平板間実験,及び,金属箔ベルト生成実験を並行して実施する.比較的簡便なガラス2平板間実験で諸因子の影響を検証し,その結果を用いて金属箔ベルト生成実験の実験条件を絞り込むことで,金属箔ベルト表面で生成するTBAB水和物の成長挙動に関する研究成果を効率的に取得する予定である.
また,どちらか一方の実験研究に遅延が生じるなどの問題が発生し,十分な成果が見込めない場合は,もう一方の実験研究に注力することで十分な研究成果を確保する予定である.

次年度使用額が生じた理由

本研究は二つの実験を並行して行うが,一方の実験で遅延が生じ,その装置購入を遅らせたことが理由である.装置の購入を計画通りにすることも可能であったが,万全を期するため,他方の実験結果を検証した後に装置の仕様を決定することとした.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 冷却固体面上を伝播するTBAB水和物結晶の形状と成長速度2019

    • 著者名/発表者名
      手塚慶典,吉田賢央,寺岡喜和
    • 学会等名
      日本機械学会熱工学コンファレンス

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公開日: 2021-01-27  

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