研究課題/領域番号 |
19K04220
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
宮田 一司 福岡大学, 工学部, 准教授 (00610172)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 非定常相変化二相流 / 自励振動ヒートパイプ / シミュレーション / 極低流速相変化熱伝達 |
研究実績の概要 |
本研究は,小型高性能の熱輸送デバイスとして電子機器冷却や宇宙空間での利用が期待されている自励振動ヒートパイプ(PHP)の未解明の動作原理を明らかにすることを目的としています.PHPは多数の折り返し流路で構成され,内部を流れる冷媒の流速は激しく変化しており現象が複雑であるので,このような非定常の流れを解析できる新しいシミュレーションモデルを開発し,その解析結果をもとに自励振動流が生じる原理の解明を行っています.また,PHP内の冷媒の流れで特徴的な,極低流速域(振動により流れの向きが変わる瞬間)の相変化熱伝達特性を明らかにするための実験を行っています. 2020年度までに,低流速域で過渡的に流量が減少する過程の蒸発熱伝達率を計測する実験装置を製作し,計測を行いました.その結果,冷媒の流量減少過程における加熱区間内局所の質量速度およびクオリティを正確に予測することによって,流量減少時と定常時で蒸発熱伝達率に大きな違いはなく,流量を減少させる速度の影響も見られないことを明らかにしました.また,本実験で得られた流量減少時のドライアウト発生前の熱伝達率は,定常流に対する従来の整理式と概ねよく一致する結果を得ました. また,PHPのシミュレーションモデルの改良を行い,実際のPHPのように蒸発量と凝縮量が釣り合わない場合にPHP内の圧力が変化して蒸気の物性が変化するモデルを組み込み,より広範な条件に対してシミュレーションができるようになりました.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実験計画に沿って,低流量域で過渡的に流量が変化する過程の沸騰熱伝達率を測定する実験装置を製作し,データを得ることができた.得られたデータは,沸騰熱伝達率は流量の減少速度影響をほとんど受けないことを示しており,有用な知見が得られた.また,シミュレーションの開発も順調に進んでおり,圧力変化に対応できるモデルに改良することで,より広範な条件に対してシミュレーションが可能になった.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに実験で得られた蒸発熱伝達率をPHPシミュレーションに組み込むためのモデル化を行います.また,蒸発過程において液相中に気泡が発生するモデルを開発してPHPシミュレーションに組み込み,より実現象に近いシミュレーションができるように改良を行います.
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