研究課題/領域番号 |
19K04225
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
武野 計二 豊田工業大学, 工学部, 教授 (70705201)
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研究分担者 |
古谷 克司 豊田工業大学, 工学部, 教授 (00238685)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 接触熱抵抗 / 転動体 / 真空中の伝熱 |
研究実績の概要 |
弾性変形による発熱パターンの詳細を把握しその分配を明確にするため,平面と球面の接触部位を要素現象と捉え,詳細な温度計測と実験パラメータの関係に基づく伝熱モデルを構築し,また雰囲気圧力の影響を把握することを本研究提案の最終目的としている。初年度は上下の端面を一定温度に制御した球体-平面間の接触熱抵抗の大気中における静的実験により,球体や平板内部の温度分布を計測することで接触点を通過する熱流束と接触熱抵抗を求め,接触熱抵抗,熱伝導度,および接触面積の関係を記述できる伝熱モデルの構築とシミュレーションによる検証を実施した。 引き続き2年目は,上記データの拡充,および外部から接触加重(面圧)を変化できる真空チャンバーを作製し,雰囲気気体としてN2またはHeの圧力を100Paから100000Paまで変化させ,また面圧を変化させたデータを取得した。 具体的には,(1)面圧の変化による壁面間距離の変動は,分子流領域では接触熱抵抗に影響を与えない。これは分子流領域の熱コンダクタンスに壁面間距離が依存しないためである。(2)実験において分子流から遷移流に変化するクヌーセン数(Kn)は,一般的な遷移値より小さくなったが,これは表面に凹凸がある壁面間では,平行平面に比べて分子の飛行距離が相対的に大きくなるためと考えられた。(3)理論的には,熱コンダクタンスは分子の自由度をf,質量をmとしたとき(f+1)^2/mの0.5乗に比例するはずであるが,実際には0.5乗より小さい結果となった.これは,分子が壁面に衝突する際のエネルギーの受け渡し比率を表す熱適応係数が気体や金属の種類で異なることに起因すると考えられた。 これらのデータは,これまで殆ど報告されたことが無い,貴重なデータである。以上の通り,初年度および2年目の研究は目標をほぼ達成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目は,外部から接触加重(面圧)を変化できる真空チャンバーを作製し,雰囲気気体としてN2またはHeの圧力を100Paから100000Paまで変化させ,また面圧を変化させたデータを取得することを目的としたが,実験,モデル化とも順調に計画を遂行できた。 但し,コロナ禍のために予定していた国内外の学会出席ができず,そのために予定していた予算は未消化になっているが,全体計画には影響は無い。
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今後の研究の推進方策 |
圧力変化(真空~常圧)させた雰囲気中における平面/平面間,および平面/球面間の接触熱抵抗のデータ取得,および物理モデルを構築を行う。金属同士を接触させ加重を掛けると,微視的な凹凸が削れ,酸化し,酸化物の脱離や凝着が起こり,これが接触熱抵抗をゼロ近くまで低下させない要因となっていると予想される。真空中,および種々の不活性ガス中で,平面/平面間,および平面/球面間の接触熱抵抗の実験を行うことにより,接触空間における分子運動,接触面における酸化など,本現象に重要な影響を与える因子を個々に検証する。 また,表面粗さを変化させたデータを取得する。表面粗さの変化は,低圧雰囲気では分子の衝突の方向性がランダムになり,衝突機会が増加すると考えられるが,これらの実験データを取得し,数値シミュレーションでも検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
真空環境での実験装置の製作を行ったが,真空ポンプと圧力計が所有の物を活用できた。また,コロナ禍の影響で国内外の学会参加ができず,旅費として計画していた予算が消化できなかった。 但し,その分は次年度の実験における消耗品に充当させるため,全体計画には影響しない。
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