研究課題/領域番号 |
19K04232
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
二宮 尚 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (70212123)
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研究分担者 |
鈴木 智大 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (10649601)
金野 尚武 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (60549880)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | キノコ / 水分 / RIイメージング / 三次元計測 |
研究実績の概要 |
キノコの子実体は水分含有量が非常に高いが、植物の導管のような組織は無く、その水分経路が不明であり、子実体形成過程における水分経路の解明は効率的な栽培方法に重要な知見を与えると考えられる。本研究では、キノコ1個体のライフタイムにわたる水分移動を観察するため、放射性同位体を用いることで子実体形成過程における水分経路をライフタイムに渡って、in-vivoにて観察することで、子実体の生育条件に関するより詳細な知見を得ることを目的とする。 本研究では、本学バイオサイエンス教育研究センターのRI管理区域内でシイタケの菌床栽培を行う。子実体に極微量のRIトレーサーを注入し、その成長過程における水分経路のライフタイム・イメージングを行い、子実体内の水分経路の詳細を明らかにする。RIトレーサーとしては、セシウム137水溶液を用い、それらから放出されるγ線の観察を行う。一般的には、標本を薄くスライスし、感光紙上に静置することで投影像を得るが、それではライフタイムの観察は出来ない。in-vivo な観察を行うには、非接触にて標本を周囲から観察し、CT技術によって三次元再構築を行う必要があるが、本研究では、イメージング方法としてピンホールカメラを用いることで、CTなどに必要な複雑な三次元再構築を行うことなく、子実体内部の水分経路を非破壊で観察することを試みる。一般に、キノコの 子実体の成長は約4日と非常に遅いので十分な長時間露光が可能であると考えられる。 本年度は、まず一般的なRIイメージングである切片を用いたイメージングを行い、イメージングに必要なセシウム水溶液の濃度を調査した。続いて、鉛でピンホールカメラを試作し、セシウム水溶液を10μlずつ微小なチューブに封入したものをチューブスタンド上に配置し、ピンホールカメラを用いたγ線の可視化を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度当初、研究代表者の所属機関である宇都宮大学に附属するバイオサイエンス教育研究センターが所有する二次元のRIイメージング装置が故障していたため、実際に二次元のRIイメージングを行って、RIイメージングに対する経験を積むことが出来なかった。しかし、年度途中から装置の使用が可能となり、セシウム水溶液の計測を試行した。その結果、可視化に必要なセシウム水溶液の濃度と露光時間に関する知見を得た。 この結果を元に、三次元観察に必要となるピンホールカメラの設計・製作を行い、γ線の観察実験を試行したが、十分な露光が得られず、子実体での計測にまで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
γ線の減衰を考慮したピンホールカメラの設計と、感度を上げる工夫を検討し、三次元RIイメージングの可能性を精査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度前半で研究の進捗がかなり遅れていたため、早い時期に研究期間を延長する事を決心し、次年度の研究資金を確保する目的で本年度の使用額を制限した。本年度の研究成果として、γ線による可視化では空気中での減衰が無視出来ない事が判明したので、次年度では、その点を考慮したカメラの設計を行う予定である。
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