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2019 年度 実施状況報告書

炭素マーカーによるダイレクトカーボン燃料電池の反応サイト観察と高出力化

研究課題

研究課題/領域番号 19K04234
研究機関東京工業大学

研究代表者

渡部 弘達  東京工業大学, 工学院, 助教 (40551825)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード燃料電池
研究実績の概要

本研究は,ダイレクトカーボン燃料電池(DCFC)の燃料であるチャーが観察可能であり,反応サイトのマーカーとして機能する点に着眼し,電気化学計測とチャーの観察からDCFCの発電メカニズムを解明し,高出力化に向けた指針を得ることを目標としている.今年度は,空孔を有するニッケル燃料極を活性炭/溶融炭酸塩の充填層に圧接させるプレス型DCFCを用いて,発電性能を計測するとともに,発電後,アノード側の活性炭/溶融炭酸塩の充填層の観察を行い,画像解析から炭素充填率を算出した.燃料には,観察が容易になるように,直径約1mmの活性炭を使用した.アノード側の炭酸塩中の炭素分率を1.0, 2.0, 3.0, 5.0 wt%と変化させ,電流密度-電圧曲線およびインピーダンスの計測を行った.結果として,炭素分率の増加に伴い,DCFCの出力が増大し,炭素分率が3.0wt%のとき,30 mW/cm2程度の連続発電を実現できた.発電後の活性炭/溶融炭酸塩の充填層の画像解析から,炭素分率の増加に伴い,炭素充填率が増加していることが明らかになり,炭素と電極の接触面積の増加により,出力が向上したと考えられる.DCFCの発電プロセスにおいて,炭素と電極の接触が重要であることを明らかにした.その一方で,炭素分率が5.0wt%に達した場合,連続発電が困難となった.この場合,発電時のアノード側のインピーダンス計測を行うと,低周波側の円弧が大きくなっており,拡散由来の抵抗が増大していることが示された.これは,発電時の気泡生成により,充填層内部のイオン輸送抵抗が増大したためと考えられる.プレス型DCFCのインピーダンス計測結果から,燃料極側よりもカソード側の過電圧が大きく,さらなる高出力化のためには,カソード側の改良が必要であることを明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの研究で,DCFCの燃料である炭素が比較的容易に観察できることが示された.現在は,固体酸化物形燃料電池(SOFC)と溶融炭酸塩を組み合わせたハイブリッドDCFCの開発を進めている.ハイブリッドDCFCは,アノード側には溶融炭酸塩を使用するものの,カソード側には,SOFCで用いられている高機能カソードを使用できるため,カソード過電圧の低減が期待できる.すでに,ハイブリッドDCFCの発電性能の計測を進めており,おおむね順調に進展していると判断した.

今後の研究の推進方策

引き続き,ハイブリッドDCFCの研究を進め,炭素をマーカーとした反応サイトの観察に取り組み,DCFCの高出力化につながる知見を示す.

次年度使用額が生じた理由

試薬の購入を延期したため.
次年度に試薬の購入に充てる

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Impact of Mass Transfer in the Carbon/Carbonate-Packed Bed on the Power Output of a Press-Type Direct Carbon Fuel Cell2019

    • 著者名/発表者名
      Hirotatsu Watanabe, Takashi Shimada, Minori Nakanouchi, Katsunori Hanamura
    • 雑誌名

      Energy & fuels

      巻: 33 ページ: 12865-12870

    • DOI

      10.1021/acs.energyfuels.9b03032

    • 査読あり
  • [学会発表] DEVELOPMENT OF A HYBRID DIRECT CARBON FUEL CELL USING A CARBON DISPERSED Ni/YSZ ANODE FOR HIGHER POWER OUTPUT2019

    • 著者名/発表者名
      Hirotatsu Watanabe, Keisuke Goda, Katsunori Hanamura
    • 学会等名
      The Second Pacific Rim Thermal Engineering Conference
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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