固体酸化物形燃料電池(SOFC)と溶融炭酸塩を組み合わせたハイブリッドDCFCの開発に取り組んでいる。さまざまなサイズの活性炭を燃料として、DCFCの出力計測を進め、H2を燃料としたSOFCとの比較検討を行っている。さらに、Ni/YSZ燃料極のSEM撮影およびTEM撮影に取り組み、炭素と電極構造のミクロスケール観察を進めている。炭素が反応サイトのマーカーとして機能することを示すためには、まず、炭素と電極界面をそれぞれ観察できるようにする必要がある。本年度は、エネルギー分散型X線分光法(EDS)を用いることで、電極上の炭素、Ni、YSZをそれぞれ別個に観察できることを明らかにした。さらに、SEMやTEM観察では捉えきれないNi/YSZ界面近傍で起きている原子スケール現象を明らかにするために、第一原理計算コードVASPを使用した計算科学的アプローチの構築にも着手した。実験科学を主体としつつ、計算科学も併用することで、原子スケールからマクロスケールに至るマルチスケール現象解明を目指す。本年度は、NiとYSZの(111)面が相互に向き合うNi/YSZ原子モデルを構築し、さまざまな酸素欠陥パターンを有するNi/YSZ原子モデルの構造緩和計算を行った。その結果、原子スケールでは、さまざまなNi/YSZ界面構造が存在することが示唆された。現在、Ni表面にCHフラグメントを吸着させ、酸素スピルオーバによるCHフラグメントの酸化挙動のエネルギー変化ダイアグラムの解明を進めている。
|