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2020 年度 実施状況報告書

多孔質体理論に基づく,土砂災害発生モデルの提案

研究課題

研究課題/領域番号 19K04236
研究機関静岡大学

研究代表者

桑原 不二朗  静岡大学, 工学部, 教授 (70215119)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードタンクモデル / 多孔質体 / 透過率
研究実績の概要

土壌積層モデルの構築
土壌は,気孔率,土壌粒子寸法の異なる層が積層する場合が多い.気孔率,土壌粒子寸法が変化することで,透過率などが変化し,地下へ浸透する水量の深さ方向の分布が変化する.様々な土壌を模擬し,降水が浸透する速度予測を行い従来のタンクモデルが示す流域への浸水予測の改善を目指す.本年は,4つの異なる性質を有する多孔質層による流出予測と,深さ方向に連続的に気孔率及び土壌粒子直径が変化する無段階モデルによる流出予測を比較し,より現実的な多孔質土壌モデルの構築を目指した.これまでのタンクモデルに多孔質体モデルを導入した結果,土壌内部構造の再現および,タンク側面から流出する流出速度の再現性が確認された.土壌の性質を深さ方向に変化させないモデルでは,タンク側面からの流出量分布が平たんとなり,実現象を再現できないが,4層モデルでは,地表付近に大きな流量が現れる現象が再現された.適切な透過率予測を施した無段階モデルは,さらに精度の高い予測を実現することを確認した.
降水から流出の時間経過を予測するモデルの構築
無段階多孔質体を用いた改良タンクモデルにより,時間による降水量変化が流出量変化に及ぼす影響を検討するため,非定常数値シミュレーションを実施した.若干の時間差を予測するものの土壌内への含水などを考慮しないため,実現象を表現するには至らなかった.含水モデルの構築を実験データをもとに目指すこととなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

数値シミュレーションによる検討より無段階多孔質体モデルの有効性が確認された.粒子径と気孔率の変化が,土壌粒子層の透過率を正しく予測することが確認された.一方,土壌を構成する粒子の含水性のモデル係数の決定を目指し,実験データを収集する必要が生じた.モデル係数の決定により浸透の時間的予測精度の向上が見込まれる.

今後の研究の推進方策

乾燥粒子層に対し,水分含水の速度を計測する実験装置を構築する.体積法,重量法を駆使し,実験データを収集する.また,1つの土壌粒子塊に注目し,粒子内部に浸透する水分の分布予測を実施する.粒子塊表面での水分輸送と粒子塊内への各拡散予測を微視的に予測することで,実験データの検討を実施し,粒子塊の性質と巨視的物質移動係数の予測を行う.

次年度使用額が生じた理由

社会状況により学会などによる研究報告や,調査研究を実施しなかった.多孔質体モデルの性質のうち,含水に関する実験を行う前に,多層多孔質体モデルの構築を行い,モデルの有効性と問題点の検討を優先した.これによりモデル改善に向けた実験内容を検討することで,令和3年度の実験内容の再検討が可能となった.
令和3年度は,含水性などに対する詳細な実験を実施し,令和2年度までに構築した多孔質体モデルの改良を目指す.非定常的に変化する降水と周囲流域への流出の時間的予測モデルの制度を検討することで,多孔質体をタンクモデルに導入する有効性を検討する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 「タンクモデル」への多孔質体土壌モデルの導入2020

    • 著者名/発表者名
      水谷 太一
    • 雑誌名

      静岡大学卒業論文

      巻: 1 ページ: 1-45

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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