研究実績の概要 |
宇宙機の姿勢制御用スラスター燃料であるヒドラジン誘導体(ヒドラジン,モノメチルヒドラジン,非対称ジメチルヒドラジン)の酸素燃焼反応モデルの改良と反応解析を行った. 酸素燃焼反応で重要となるヒドラジン誘導体からの OH, HO2 による水素原子引き抜き反応,(CH3)2NNH + NO2, H2NN(CH3)CH2 + NO2 反応について量子化学計算を行った.前年度報告した H, CH3, NH2 による水素引き抜き反応と同様に,ヒドラジンへの CH3 基置換数の増加に伴い,反応生成物と遷移状態のエネルギーが減少し,それらはエバンス-ポラニー則に従うことが確認された.量子化学計算で得られた結果を用い,遷移状態理論により各反応速度係数を計算し,各ヒドラジン誘導体の生成物毎の素反応速度パラメータを決定した. (CH3)2NNH + NO2, H2NN(CH3)CH2 + NO2 反応に関しては,ヒドラジン,モノメチルヒドラジンの場合と異なり,(CH3)2NNH, H2NN(CH3)CH2 ラジカルのβ位の N に N-H 結合が存在しないため,NO2 が水素原子を引き抜き HONO が生成する経路は進行しにくく,(CH3)2NNHNO2, H2NN(CH3)CH2NO2 に安定化しやすい傾向が明らかになった. 上述の反応素過程を反映した酸素燃焼反応モデルにおいて,ヒドラジン,非対称ジメチルヒドラジン及びそれらの混合燃料の着火遅れ時間,予混合層流火炎速度の数値計算を行い,反応解析を行った.
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