研究課題/領域番号 |
19K04254
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
平元 和彦 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00261652)
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研究分担者 |
松岡 太一 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (80360189)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 振動制御 / 予見制御 / 波形予測 / ニューラルネットワーク |
研究実績の概要 |
現在日本国内では,振動制御されている構造物や各地の観測サイト等,多数の地点で地震波が常時実時間観測されている.本研究では,これらの観測地点をネットワークで相互接続して波形情報を伝送し,当該構造に地震波が到達する前から伝送された波形情報を用いて制御を行うことによって,従来の性能を大きく上回るような高い振動抑制性能を実現する制御手法の開発・提案を行うことを目的とする. 状態フィードバック制御と外乱の未来値を用いるフィードフォワード制御からなる予見制御を用いる制御系設計問題を定式化した.フィードフォワード制御に必要な地震外乱の(未知の)未来値は,ネットワークで伝送される遠隔地波形情報等を元に,人工ニューラルネットワークを用いて推定するものとした. 中越地震の記録地震波形を用い,提案する波形予測を伴うアクティブ予見振動制御系を設計した.予見制御の特性を調整する設計パラメータである制御重み,波形予測機構である人工ニューラルネットワークのユニット重みやバイアスの値を,予見長やニューラルネットワークの構造,層数,ユニット数等のハイパーパラメータのいくつかの組み合わせに対して,GA(遺伝的アルゴリズム)を用いて最適化した. シミュレーションにより,提案する波形予測を伴うアクティブ予見振動制御系は,同等の制御力の下で最適化した最適レギュレータによるフィードバック制御と比較して,10-30%良好な振動抑制性能を達成した. 得られた研究成果は論文として発表し,国際会議および国内の講演会でも発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度で計画した制御問題の定式化,記録地震波を用いた制御系の最適化およびシミュレーションについては,ほぼ計画・想定したとおりの良好な結果を得ることができている. 一方,PCワークステーションを導入したものの,計算負荷の高さから,さまざまなハイパーパラメータの探索が不十分な部分もあるので,今後より幅広い探索範囲から最適設計を行う.
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況でも述べたように,複数の最適化プログラムを現有設備も含む複数のPCワークステーション上で実行し,より効率的に最適なハイパーパラメータおよび対応する設計変数の予見制御の制御重みやニューラルネットワークのユニット重みやバイアスの最適化を行う. 現在まで,単一の記録地震波系に対して最適化しているが,記録地震波の数を増やしたり,記録波形に摂動を加えることによって生ずる制御性能のばらつきを小さくすることによって,制御性能をロバストに保つような設計パラメータの探索を行う. さらに,現在行っているアクティブ振動制御手法に加え,地震外乱を受ける構造系の制御手法としてより実用性の高いセミアクティブ制御系への提案手法の展開も検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者分担金が使用されなかったため.次年度以降適宜使用する.
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