• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

肺炎早期発見のための肺音解析技術の確立と在宅使用可能な聴診支援システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K04257
研究機関山口大学

研究代表者

江 鐘偉  山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (60225357)

研究分担者 森崎 哲也  宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (30425392)
浅見 麻紀 (野山麻紀)  山口大学, 医学部附属病院, 助教 (60808187)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード肺炎の検知 / 肺音の聴診 / ファインクラックルの検出 / 肺音の可視化
研究実績の概要

肺炎による死亡率は、人口の高齢化により一貫して上昇し平成29年には死因別では第3位を占めており、年齢を重ねるほどに肺炎による死亡率が増えている。肺炎の発見が遅れ、風邪くらいと思って病院に行かずそのまま放置して、いつの間にか重症化してしまうことがあり、肺炎の早期発見と予防が重要である。一方、高齢者の場合は、体が肺炎にかかっていても自覚症状がわかりづらく、発熱も起こらないため、肺炎の早期発見が難しい。
外来診察時行っている問診と聴診の代わりに、自宅でも呼吸音を簡単に聴音し、肺雑音の有無をスクリーニングすることで、肺炎の発症兆候をいち早く発見し、肺炎の重症化または感染の拡大の軽減につながる。
本研究では、電子聴音デバイスで呼吸音を聴音し、肺炎の特徴として現れる関連肺雑音を解析・分析する技術を確立するとともに、一般家庭で肺炎の状態を常時モニタリングできる聴音解析支援システムを開発することを目指している。具体的に、①市販の電子聴診器は一般ユーザが扱いにくいため、簡単に装着する呼吸音聴音デバイスを試作開発する。②肺音から肺炎の徴候となるファイルクラックルは熟練者でないと聞き分けすることが困難であるため、ファイルクラックルをグラフ化して見える化する技術を開発する。③肺音を時間域―周波数の再割り当て技術を用い、ファインクラックルを特徴的なイメージパターンに変換し、画像処理でよく用いられるAI技術を導入し、ファイルクラックルの発生を検出するアルゴリズムを開発する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ファインクラックルを周波数域の広いウェーブレットとしてモデル化し、時間―周波数の再割り当てアルゴリズムを適用して、クラックルをイメージパターンに変換する解析アルゴリズムを開発し、その有効性を臨床データより確認した。また、画像処理で用いられるAI技術を導入し、ファインクラックルの識別を試みた。おおむね良好な結果が得られた。
一方、音声データからクラックルイメージに変換する場合、変換時に設定したパラメータによってAIによる学習効果が異なる場合がある。より良い学習効果とより高い識別率を得るための変換パラメータの抽出または変換方法をさらに吟味する必要がある。
それから、座っただけ聴音できる椅子型と簡単に装着するウェアラブル型聴音デバイスを設計試作した。簡単に録音機能、収録したデータをクラウドに送信する機能など、使いやすいソフトウェアの開発を外部委託するため、仕様と機能をまとめているところであり、多少遅れているが、順調に進めている。

今後の研究の推進方策

①一般ユーザが使いやすい聴音デバイスを改良試作する。
②AIアルゴリズムをサーバーで動かすためのクラウド解析対応ソフトウェアを開発する。
③より良い学習効果とより高い識別率を得るための変換パラメータの抽出または変換アルゴリズムを再検討する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染拡大の影響で、学会出張や研究打合せによる出張が控えることとなったため、旅費が予定より少なくなった。
また、呼吸音の収集とクラウド解析環境を整えるためスマホ用アプリとWEB用アプリの設計仕様と予算の折り合いに難航し、調整に時間がかかったことで、その他の外注設計試作予算の執行が遅れた。
未使用額は、WEBアプリの試作に優先し、呼吸音の入力用WEBサーバーとAI解析システムの構築に当てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 肺炎聴診システムと解析方法の研究開発2020

    • 著者名/発表者名
      布川拓海、江 鐘偉、森田 実、浅見麻紀、松永和人
    • 学会等名
      日本機械学会九州支部第73期総会・講演会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi