| 研究課題/領域番号 |
19K04258
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| 研究機関 | 大分大学 |
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研究代表者 |
中江 貴志 大分大学, 理工学部, 准教授 (80579730)
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| 研究分担者 |
劉 孝宏 大分大学, 理工学部, 教授 (60230877)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 粉状体 / 衝突ダンパー / オーディオ / 強制振動 / 自励振動 / 制振 |
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| 研究実績の概要 |
粒状ダンパは，運動エネルギーを利用して，振動体と粒子間の衝突あるいは摩擦エネルギーとして消費するダンパである．現在，高級オーディオラックの制振材として鋳鉄粉が利用されているが，鋳鉄粉のような粒子が非常に小さい粒状体の制振効果とメカニズムを調べた研究は少なく，その技術的応用が期待されている．そこで，本研究では，粒子が非常に小さい鋳鉄粉の制振メカニズムを基礎的な実験および理論解析により明らかにするのが第1の目的である．さらに，鋳鉄粉を用いた制振効果の実現象への応用を図るため，自励振動現象である，ディスクブレーキの鳴きおよびホットジャダー，さらに，強制振動系であるオーディオラックの制振に対する応用を試みる．令和元年度は，以下の2つの項目について研究を実施した．研究実績の概要について以下にまとめる．
１．基礎実験・基礎解析による鋳鉄粉の制振メカニズムの調査（基礎的アプローチ）
鋼板の打撃試験を行い，固有振動数やモード減衰比を調査した．また，加振実験を行い，何も付与しない場合，鋳鉄粉あるいは粒径1mm以上の鋼球を付与した場合で応答の違いを調べた．その結果，各振動モードの腹の位置に鋳鉄粉を付与した場合に制振効果が大きいことが分かった．
２．応用アプローチ
鋳鉄粉あるいは鋼球を付与したオーディラックの板や支柱単体の加振実験を行い，それらの制振効果を調査した．その結果，鋳鉄粉，鋼球ともに同程度の制振効果を有することがわかった．ブレーキ鳴きに対しては，ディスクロータのリブに質量を付与し，制動実験を行い鳴きへの抑制効果の特徴を調査した．その結果，鳴きを抑制できる最適な質量配置を見つけることができた．ホットジャダーに対しては，低自由度の解析モデルを用いて，簡易的な減速過程を考慮したシミュレーションを行い，ホットジャダーの再現を行った．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎的アプローチでは，鋼板の打撃試験および加振実験から，基礎的な鋳鉄粉の振動特性を知ることができた．鋳鉄粉を用いた強制振動系に対する制振技術の提案への足掛かりとなった．
応用アプローチでは，鋳鉄粉を封入しているオーディラックの板や支柱単体の加振実験を行い，制振効果を確認することができた．また，鋼球を付与した場合，粒同士が激しく衝突して騒音が大きいのに対し，鋳鉄粉の場合，騒音が小さいことから，制振メカニズムの違いがみられ，実製品であるオーディオラックにおける鋳鉄粉の制振メカニズムの解明に近づいた．
以上から，現在までの研究実施に対応する進捗状況はおおむね順調に進展している判断する．
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| 今後の研究の推進方策 |
令和元年度の基礎実験から周波数帯によって，鋳鉄粉と鋼球の効果の大小が変化することがわかった．この原因について今後さらに調査を続ける．
また，オーディオラックの加振実験について，鋳鉄粉と鋼球の制振効果に差が出る条件について今後実験を行い，鋳鉄粉の制振メカニズムについて調査する．また，鋼板を棒で擦り，摩擦自励振動に対して鋳鉄粉の制振効果を調査し，鋳鉄粉を用いた摩擦自励振動の完全抑制を目指す．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
（理由）
当初使用計画していた国際学会の出張旅費を科研費以外の研究費で使用したため，次年度使用額が生じた．また，加振器の購入を当初使用計画していたが，既存の加振器を使用できるよう更新したため，新規購入に至らなかった．
（使用計画）
次年度使用額と令和2年度助成金を使用して，実験装置の試作や材料費および研究設備の補充・更新を行う．
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