研究課題/領域番号 |
19K04261
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
岩本 宏之 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (90404938)
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研究分担者 |
久野 翔太郎 成蹊大学, 理工学部, 助教 (00825945)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | グローカル制御 / 能動騒音制御 / 開空間 / ゼロ制御パワー |
研究実績の概要 |
開空間における能動騒音制御においてグローバルな騒音抑制効果を得るためには,多数のセンサおよびアクチュエータを全制御領域に設置して音響パワーを計測する必要がある.したがって,その実現は困難であるといえる.そこで,本研究ではゼロパワー現象を基調としたグローカル制御法の確立を目指す.ゼロパワー現象とは,主音源と制御音源がそれぞれ音を放出している場合に,全音響パワーを最小化すると,制御音源周辺の音響エネルギーの流れが均衡して時間平均がゼロとなる状態のことを指す.逆説的に考えると,ゼロパワー現象を積極的に惹起することによって,全音響パワーを最小化できる可能性がある.これは,制御音源付近のローカルな情報のみからグローバルな全音響パワーを最小化するような制御(グローカル制御)の実現の可能性を示唆している.そこで,本研究プロジェクトにおいては,開空間の能動騒音制御においてグローカル制御を確立することを目的とする.
当該年度においては,音源が分布音源の場合におけるゼロ制御パワー現象の発現条件について検討した.その結果,音源の微小要素間に音響学的相反性が成立すれば,最適制御時にゼロ制御パワー現象が発現することを明らかにした.また,数値解析の観点から,音源が矩形・円形である場合の制御効果を検証した.特に,矩形音源については,その姿勢(騒音源に対する回転角)が音響パワーの抑制効果に影響を与えることを示した.さらに,制御音源が点音源の場合において,音源近傍におけるアクティブインテンシティとリアクティブインテンシティを最小化すると,全音響放射パワーが最小化に準じる程度に抑制されることを数値的に示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では,制御音源が分布音源の場合においてグローカル制御のための評価関数を明らかにする予定であったが,点音源の場合の評価関数のみを明らかにすることが出来た.ただし,分布音源におけるゼロ制御パワーの発現条件が明らかになり,また,最適制御時の音響パワーの抑制効果を数値的に実証できたので,トータルの進捗状況としてはおおむね順調であると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度においては,制御音源が分布音源である場合におけるグローカル制御の評価関数の探索を主目的とする.さらに,無響室においてグローカル制御系を構築し,制御効果がどの程度最適制御に近づけるかを検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で共同研究先での無響室実験ができなかったことが理由である.9月をめどに先方で実験が行えるかを見極め,もし不可能となった場合は,大学内の簡易半無響室にて実験を行う事とする.
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