研究課題/領域番号 |
19K04262
|
研究機関 | 大同大学 |
研究代表者 |
大澤 文明 大同大学, 工学部, 教授 (50410618)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 直動・回転 / アクチュエータ / 突極 / 磁気干渉 / 電磁力マネージメント |
研究実績の概要 |
本研究は直動・回転を可能にする多自由度電磁アクチュエータの高出力化を目指し、磁気的な突極構造と界磁電流間に作用する磁気干渉を応用した新たな制御法を示すことを目的としている。昨年は突極と界磁電流の磁気干渉を解明し、突極を磁化することで形成される電磁石が出力増加に有効であることを示した。各種運動条件に適切な突極構造と電磁力の計算機モデルを示して出力特性を予測した。 本年度は昨年の出力予測をもとに、現状モータと比較して電磁力を40%増加させることを目標に、1kWクラスの試作機を設計した。出力特性を磁場解析により評価した結果、非駆動側巻線にd軸電流を流すことにより駆動側の電磁力が増加することを確認できた。一方、d軸電流を一定以上に流したとき、計算機モデルと比較して電磁力の増加率が低下した。そのため、磁気干渉時におけるアクチュエータ各部の渦電流密度分布と渦電流損失を解析した。その結果、d軸電流により渦電流損失が発生し、ある一定のブレーキ制動力が作用することが明らかになった。そこで、渦電流を抑制するためにスリット構造を検討し、高出力化と渦電流損失の低減を両立する試作機を設計した。高速運転域において渦電流損失を大幅に低減することができ、ブレーキ制動力の抑制に成功した。さらに、直動・回転の同時運転時における出力特性の計測方法を検討し、トルクに加えて推力を同時に計測可能はアクチュエータの周辺機構について設計を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、現状モータと比較して電磁力を50%増加させ1kWクラスの実機を設計・試作する予定であったが、磁気干渉による電磁力の増加が予測値より低下したため、原因究明に時間を要した。トルクに加えて推力も同時に計測可能なアクチュエータの周辺機構を設計するのに時間を要するなどの遅れを生じた。アクチュエータ周辺機構の目途が立ったため、すぐに試作に着手する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果に基づき、目標運動から最小損失、最大効率を実現する各巻線電流の配分方法を検討する予定である。要求電磁力を満たす各巻線のdq軸電流の解は複数存在するため、運転条件を考慮して電流配分を決める電磁力マネージメントを検討する。電磁力マネージメントにより算出した電流配分を評価するために実機を用いた性能評価試験を実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
出力測定に必要なアクチュエータ周辺機構の設計に時間を要したため、年度内の試作に間に合わなかった。次年度使用額は、アクチュエータおよび周辺機構の試作費に充てる予定である。
|