研究課題/領域番号 |
19K04263
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
伊藤 彰人 同志社大学, 理工学部, 教授 (60516946)
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研究分担者 |
辻内 伸好 同志社大学, 理工学部, 教授 (60257798)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 運動計測 / 慣性センサ / モーションコントロール |
研究実績の概要 |
産業ロボットにおいても,ISOの安全基準の改正により,基準を満たせば安全柵のない状況で人の作業を補助し,人と同じ空間で動作するロボットが実現可能になっている.今後の産業用ロボットの発展を考えた場合,ロボットが常に変化する周りの環境や人の動作から,人の動きの意図を読み取り,自身の動作を決定し,人と協調作業を行う必要がある.これらのシステムを実現するためには,作業を行う手指を含めた人の動きをどのように計測し,計測結果から人の意図をどのように抽出するかが課題となる.そこで,本研究は,慣性センサを用いた人の上腕の運動計測システムを開発することで作業空間内での人の手指の動きを正確に計測し,人の意図を抽出することにより人とロボットの協調作業を実現することを目的とした. 本年度は,まず,開発済みであった右手の手指運動計測システムを改良し,両手での計測を実現するため,左手用の計測システムを開発した.そして,本研究で開発したシステム,および設計したノイズの低減のためのフィルタを用い,各関節の関節角度を誤差1%程度で計測できることを明らかにした.しかし,さらなる精度向上を目指し,カメラを用いた誤差補正方法の開発に関する研究を行った.そして,作業者の手指の使い方を分析し,把持形態の細分化を行ったCutkoskyの分類法に記載されている把持形態の計測を開発した手指運動計測システムにより行い,十分に計測可能であることを検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,「慣性センサを用いた人の上腕の運動計測システムの開発」,把持モデルの構築を目的としていた.慣性センサを用いた人の上腕の運動計測システムに関しては,当初の計画通り,左手用の手指運動計測システムを試作し,両手での計測を可能とするシステムを構築した.また,試作したシステムにより,Cutkoskyの分類法に記載されているすべての把持形態を計測可能なことを明らかにした.従って,本研究課題おいて,特に重要となる両手の手指の運動が計測可能になったため,今後の研究を円滑に遂行することが可能である. 現在,計測システムのリアルタイム計測を実現するソフトウェアの開発に遅れが生じている.今後,ロボットとの協調制御には欠かせない部分であるため,開発を進める予定である.しかし,次年度実施予定であった手指運動形態のモデル化,データベース化を先行して着手している. 以上のことから,若干の遅れがある課題が存在するが,全体の研究計画については概ね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究目的に沿って,人の意図を抽出することにより人とロボットの協調作業の実現を進める.人とロボットの協調においては,まず安全性を確保する必要がある.したがって,協調動作に関する研究を実施する前に,衝突を回避方法に関する研究を行い,人の手指の運動計測システムとの統合を行い,協調動作を実現する.また,作業は,ワイヤハーネスなどの柔軟物体を想定している.そのため,柔軟物体のモデル化等にも取り組む.
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