研究課題/領域番号 |
19K04267
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研究機関 | 有明工業高等専門学校 |
研究代表者 |
柳原 聖 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (90313113)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 研削加工 / 超砥粒ホイール / ダイナミクス / インプロセス制御 / デザイン / 低慣性モーメント / 省エネルギー / 表面技術 |
研究実績の概要 |
本研究においては,研削加工における回転工具ならびに被加工物の使用方法について,加工中に動的に速度を可変制御するインプロセス速度制御法とその効果を検証する.そして,このようなインプロセス制御の実現によって,仕上げ加工中の再生びびり振動の抑制,工作物表面のトポグラフィ制御,残留応力,熱応力といった表面品質の制御などを検証し,研削加工における回転工具まわりのダイナミクスコントロールによって新たな機能を研削加工にもたらすことを目的としている.
2年目となる令和2年度は,前年度の成果をもとに,研削加工機の主軸回転数と工作物回転数を加工プロセス中(インプロセス)で増減させながら狙い通りの機能が得られるかを確認する予定であった. そこで2種類の低慣性モーメント超砥粒ホイールを新たに設計製作し,それを用いて平面研削盤上で主軸起動時の加速応答試験を実施することとした.その結果,重量削減率7割,慣性モーメント5割削減したデザインが実現できたものの,その加速応答への効果は重量や慣性モーメントの低減に比して大きくなるのではなく,ある一定のレベルで頭打ちになってしまうことが明らかになった. これは実験に利用する研削盤の主軸の駆動機構に大きな慣性があるためで,ホイールの軽量化および低慣性モーメント化だけでは当初の狙いとしていた俊敏な工具軸の加減速が得られないと結論づけられた.そこで昨年度から研究計画を若干変更し,研削盤主軸まわりの改造を実施することも同時に検討しつつ,計画の遂行をはかってゆくことにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
年度の成果をもとに,2年目は研削加工機の主軸回転数と工作物回転数を加工プロセス中(インプロセス)で増減させながら狙い通りの機能が得られるかを確認する予定であった.しかし低慣性モーメントの超砥粒ホイールを利用して実験を重ねたところ,実験に利用する研削盤の主軸の駆動機構に大きな慣性があり,ホイールの軽量化だけでは当初の狙いとしていた俊敏な工具軸の加減速が得られないことが明らかになった. そこで研究計画を変更し,研削盤主軸まわりの改造を実施することも同時に検討することになった.この変更点について実験機政策を機械メーカと打ち合わせしたところ本研究の予算内での改造は困難ということが明らかになった.このためこのメーカから中古の機械を借り受けて実験に供する予定とした. ところが2020年初頭より新型コロナウィルスの流行の影響で装置製作の協力が滞っており現在研究の停滞を余儀なくされている.
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今後の研究の推進方策 |
上述のように計画の一部変更が必要になったこともあり,本年度は研究実施場所で所有している既存の研削盤を実験装置として利用できるように改修をし,昨年度調査予定であった研削加工機の主軸回転数と工作物回転数を加工プロセス中(インプロセス)で増減させながら狙い通りの機能が得られるかを確認し,遅れた計画を前進させたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度実験装置の製作をうちあわせていた企業が,新型コロナウィルスの影響で経済的な打撃を受け装置製作が行えない状況となっていること. 学会発表や打ち合わせを予定して旅費を計画していたが,新型コロナウィルスの影響で出張ができなくなり旅費を全く使用しなかったこと. これらによって次年度使用額が生じている. 今年度も新型コロナウィルスによる研究計画への影響は少なくはないと見込まれるが,実験装置製作に充当する予定である.
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