研究課題/領域番号 |
19K04268
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研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
研究代表者 |
久池井 茂 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 教授 (50300653)
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研究分担者 |
川原 浩治 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 教授 (20321515)
吉野 慶一 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 教授 (40249876)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スマートハンドリング / サイバーフィジカルシステム / 回転不変マッチング / 非接触技術 / 機能分析技術 |
研究実績の概要 |
本年度は、サイバーフィジカルシステム(CPS)環境の構築と非接触機能分析システムの確立を行った。培地内で細胞の3次元操作や回転運動の最適操作条件を機械学習させ、本研究で提案するシステムと共焦点レーザー操作顕微鏡を組み合わせることによって、細胞の3次元姿勢制御を研究した。断層画像を撮影することによって3次元画像を作成し、「人」に代わり細胞をリアルタイムで計測処理、精緻なハンドリングができるシステムの研究を行っている。特に、課題の1つである、細胞の姿勢(回転等)により形状が変化することを防ぐために、研究シーズである回転不変パラメータ手法を適用した。対象の回転によってパラメータ変動が生じない、重心点からの等距離エッジ強度を利用した。回転量に対して不変なパラメータであるため、回転のための処理を必要とせず高速・高精度で高度情報処理できるCPS環境を構築した。 今後は、CPS環境で統合する次世代スマートハンドリングシステムの構築について研究する。また、CPS環境に、非接触運動制御技術・非接触有用物質計測技術を連携できるよう新しい非接触機能分析システムの研究も進める。 非接触技術をCPSで統合することによって、細胞からの反応によるデータを用いて、画像解析イメージングによるスマートハンドリング技術を確立する。細胞内の温度によって画像の輝度が変わる方法なども研究し、機能分析と画像処理結果との相関を高次元多変量重回帰モデルのスパース推定で調べ、細胞の反応メカニズムを分析しスマートハンドリング技術を完成する。ロボットテクノロジー・バイオテクノロジー・フォトニクスという3つの分野の融合技術により、ミクロおよびナノレベルの計測、制御を可能とする革新的なハンドリング手法の検証を行う。デジタルツイン技術を活用してシステムの自動化やアプリケーション開発も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、ヒト細胞等の機能分析に有効なハンドリング技術の暗黙知を形式知として確立するものである。操作者に依存しないハンドリングを実現するためには、「経験と勘」でしかわからなかった操作を「数値化」し定量的に分析する必要がある。本年度は、コア技術となる回転不変マッチング RIMを活用し、操作の形式知化を確認しているので、研究は順調に進展していると判断している。 ピエゾステージからの計測実験データをクラウド上の統計解析システムと繋ぐことによって、CPS環境で細胞の運動制御を行うことを可能とし、より正確にハンドリングが行えるような環境を構築した。あらゆる角度から細胞の有用物質の情報を得ることが可能となる。さらに、CPS環境に非接触運動制御技術・非接触有用物質計測技術を連携できるよう新しい非接触機能分析システムを準備している。レーザー光を2本使う方法を提案することで、細胞に直接レーザーを照射する必要がなく、細胞の破損や損傷を避け回転運動も可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究シーズであるレーザー光圧を用いた非接触運動制御技術・画像処理による有用物質計測技術を連携したハンドリング技術において、膨大な操作ノウハウ等の情報をサイバー空間の強力なデジタル解析で結びつけ数値化し、定量的に分析するサイバーフィジカルシステム(CPS)と融合する。本年度に研究した複数の非接触技術をCPSで統合することによって、細胞からの反応によるデータを用いて、画像解析イメージングによるスマートハンドリング技術を確立する。細胞内の温度によって画像の輝度が変わる方法なども研究し、機能分析と画像処理結果との相関を高次元多変量重回帰モデルのスパース推定で調べ、細胞の反応メカニズムを分析しスマートハンドリング技術を完成する。従来は人でしか対応できなかった高度化・複合化した最先端の機能分析技術の自動化を進める予定である。非接触センシングした取得情報に、高次元多変量重回帰モデルの構築やデータ同化、機械学習を適用することで人による「経験と勘」でしかわからなかった操作手法を統合解析である。様々な要因情報の中から最適な特徴量を見つけ、次世代のスマートハンドリング技術の革新を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 予定していたシステム構築が国内外の要素技術で構築でき、確認することができたため。 (使用計画) 次年度はシステム統合を主に考えており,操作者からフィードバックされる意見を反映させるため,システムの改修費が必然になる。したがって,計画計画通りのシステム開発が求められ、より充実した研究成果が得られると考えている。
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