本研究の目的は自動車や搬送車の安全性能試験に用いる歩行者用アクティブダミーの開発であり、直列粘弾性アクチュエータを用いて能動的に歩行動作を行うアクティブダミーの衝突実験を行うことで、アクティブダミーの有用性を示すことを目指している。本研究課題では歩行者用アクティブダミーは子供を模擬したものを想定し、歩行者用ダミーの身長を1m程度、ダミー全体の質量を15 kg以下とした。アクティブダミーの軽量化と能動歩行動作の両立を実現するために、受動歩行の知見を用いることで、膝部にアクチュエータを配置せず直列粘弾性アクチュエータを腰部のみに配置した能動歩行ロボットにおいても、適切な初期条件を与えること、および、遊脚期後半と支持脚期に膝を固定することを行うことで、歩行動作が実現されることをシミュレーションにより示した。さらに、直列粘弾性アクチュエータを用いた能動歩行ロボットの歩行制御はアクチュエータに直列に配置された粘弾性要素に依存することをシミュレーションにより示した。最終年度では、これまでに検討してきた直列粘弾性アクチュエータの設計をもとに、DCモータ、減速機、粘弾性要素を別々に配置することで上体の質量中心位置および慣性モーメントを変更可能な直列粘弾性アクチュエータを開発した。粘弾性要素にゴムを用いることで、ゴムの形状によって弾性特性および粘性特性が変更可能な直列粘弾性アクチュエータを製作した。以上の研究により、直列粘弾性アクチュエータを用いた歩行者用ダミーを実現するための基礎となる成果を得た。
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