研究課題/領域番号 |
19K04272
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
今村 孝 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10422809)
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研究分担者 |
棚橋 重仁 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00547292)
橋本 学 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (20282973)
野田 善之 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60426492)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乗降支援機構 / 車いす / 操作力低減 / 乗り心地評価 |
研究実績の概要 |
本研究では,車いす利用者の手動操作力にもとづく,段差や隙間を有する移動路の踏破機構を提案し,その操作力評価,機構設計の最適化,使用者の心理・生理指標にもとづく統合的な評価を目的としている.そして,そのための具体的課題を,課題①段差乗り越えのための運動の生成,課題②運動に伴うエネルギーの吸収・蓄積装置の開発,課題③安全性と乗り心地快適性の改善 の3点に集約して研究を推進している. 初年度においては,課題①に関して,機構単体と搭乗者ダミーを用いた実験により,所要操作力と所要時間の低減を図るための評価実験を行い,操作力および所要時間の増加要因を分析した.またこの実験を安全に実施できたことから,研究対象者を募り,人を対象とする操作力・操作時間計測実験を実施した. また課題②に関する操作力を支援する機構の設計を進め,試作機に実装し改良を施した.特に,初年度で設計が完了した機構としては,当初想定した課題①の分析にもとづく機構改善に加えて,車いすの昇降動作時の蓄積エネルギーに着目した機構を新たに考案し,その構成要素部品の基礎選定と試用を実施した. 最後に,課題③に関連する安全性・乗り心地快適性に関しては,課題①の人を対象とした評価実験と同時に,段差乗越え前,乗越え時,乗越え後のそれぞれの駆動状態の車いす振動を計測した.そして,人に対する曝露許容レベルを基準とした評価を実施した. これらの結果の一部を,国際会議(SII2020)にて口頭発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初初年度予定とした内容について,良好な実験結果を得るとともに,操作支援機構の改善にむけて二年度目に実施予定であった新規機構の設計と機構要素の選定・試用を実施することができた. これらの機構設計に関する内容を中心にまとめた論文が国際会議に採択された.
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今後の研究の推進方策 |
新規機構の設計において,機構要素の選定に予想以上に時間を要している.また基本構造は問題がないものの,エネルギー蓄積量の改善と所定の動作における利活用の方法については,再検討が必要であることが判明した. これらの課題解決に二年度目は注力することで,当初予定通り改善機構の実装を二年度目に完了する予定である.また,初年度に実施した実験結果より,早期に人対象実験が可能となったため,三年度目に予定していた乗り心地の評価実験を二年度内に実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で開発中の機器設計において,試用予定の機械要素数に変更が生じたため使用額に差異が生じた.継続して機械要素の検討を次年度も進めるために次年度使用額を適用する.
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