研究実績の概要 |
本研究も3年目を向かえ,仕上げの段階に来た。共同研究者である関西大学の山田先生と連絡を密に取り(もう一人の共同研究者である川口先生とは職場が同じであるので,毎日顔を合わせている),今年は最後の年であり,これまでに得られた計算結果と実験結果を世に出すことにした。論文の執筆には山田先生から多大なる助言を頂いた。
本研究の成果は浅見と山田のそれぞれが独自に発表した。浅見の論文は"Asami, T., and Yamada, K.; Simple exact solutions for designing an optimal dynamic vibration absorber combined with a piezoelectric LR circuit based on the H∞, H2, or stability criterion, Bull. of the JSME, Mech. Eng. Jour. Vol.8, No.5 (2021), DOI: 10.1299/mej.21-00189 (22 pages)."であり,山田の論文は"Yamada, K., and Asami, T.; Passible vibration suppression using two-degree-of-freedom vibration absorber consisting of a beam and piezoelectric elements, J. of Sound and Vibration (JSV-D21-01247R1: Accept)"である。
浅見の論文は,減衰のある1自由度の振動系に電気・機械複合式DVAを取付けるときのDVAの最適設計条件を3種類の設計規範に基づいて決定するものであり,いずれの規範に対しても極めて簡単な式の形で導出することに成功した。理論解析の結果,提案するDVAの制振性能は,機械式直列二重DVAの性能と遜色のないことが明らかになった。前者は後者に比べてはるかに構造が簡単で,この点からも本研究の優位性が確認できる。さらに,この電気・機械複合式DVAのシンプルな設計式は世界中でこれまでに提案されたことがなく,この種のDVAの最適化研究の先駆けとなると期待している。浅見の論文は理論的な計算に終始しているが,山田の論文では実際にこの複合式DVAを製作し,その性能を実験で確認している。
|