| 研究課題/領域番号 |
19K04289
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| 研究機関 | 東京工業大学 |
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研究代表者 |
神原 裕行 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (50451993)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 計算論的神経科学 |
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| 研究実績の概要 |
ヒトが物や機械などの物体を操作する際、我々の脳は物体の動きや物体が身体に及ぼす影響を予測しながら自らの身体を制御している。本研究では、運動中の脳波信号から物体の動きの予測に関与する脳部位、情報表現、脳部位間の情報の流れを可視化することで、外部環境の変化を予測する脳内メカニズムの計算論的なモデル化を目的とする。また、脳の構造的な変化をもたらすことが知られている運動トレーニングを行うことによって、物体の動きの予測に関与する脳機能も変化するかを検証し、運動学習や適応も含めた運動制御に関する脳内情報処理機構の理解を目指す。本研究では、具体的な研究課題として以下の三つ課題を設定する。まず、バーチャルリアリティを用いたボールキャッチング実験環境の構築（課題１）を行う。次に、ボールの動きの予測に関する脳内情報処理の可視化とモデル化（課題２）を行う。最後に、複数のボールのジャグリング運動をトレーニングすることによる脳機能の変化の検証（課題３）を行う。2020年度は、運動トレーニング実験に使用するバーチャルリアリティシステムの構築を行った。具体的には、2019年度に開発したヘッドマウントディスプレイによる視覚提示プログラムと力覚提示用のプログラムを統合した実験システムを構築した。また、ボールの捕球タスクや腕の位置制御に関する計算論的な運動学習モデルの構築及び計算機シミュレーション実験を行い、その研究成果は２件の学術論文誌で採択された。また、ジャグリング運動中の脳波解析に関する研究成果を国際会議にて発表した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度では、2019年度に開発したヘッドマウントディスプレイによる視覚提示プログラムと力覚提示用のプログラムを統合した実験システムを構築することで、課題１を達成した。このシステムを用いることにより、ジャグリングトレーニング実験をバーチャルリアリティ環境で行える事になる。また、課題２に関して、ボールの受け取りタスクに関する運動学習モデルと腕の位置制御を行える制御モデルの構築及び計算機シミュレーションを行った。これらのモデルを統合することで、ボールの動きを予測し、ボールの動きを予測しその位置に手先を到達させる計算論的な運動制御・学習モデルの構築できると考えている。さらに、課題２に関してボールの動きを予測している最中の脳波信号データ解析を行い、高次視覚野や頭頂連合野付近からボールの動きと連動する脳活動の時間周波数成分を抽出することに成功した。従って、2020年度の行う予定であった課題は概ね達成できた。
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| 今後の研究の推進方策 |
2021年度は、これまでに構築したバーチャルリアリティシステムを用いたジャグリングトレーニング実験を行う。トレーニング中の脳波信号データに脳波信号に独立成分分析と信号源推定を適用し局所的な脳活動を抽出する。さらに、それらの脳部位の活動に対して、多変量自己回帰モデルを用いた因果性解析を行い、脳部位間の情報の流れを時間周波数領域で定量化する。これらの解析を通じて、ジャグリングトレーニングによって物体の動きの予測に関与する脳機能の変化を示すことを目指す。また、2020年度に構築した計算論的な運動学習モデルと腕の位置制御モデルを統合し、ボールの動きを予測し、ボールの動きを予測しその位置に手先を到達させる計算論的な運動制御・学習モデルの構築する予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していたヘッドマウントディスプレイやデータ収録用のコンピュータは、研究代表者が2020年度まで所属していた研究室において別の予算で購入したもので代替していたが、研究代表者が2021年度に所属が変更となったため、当初購入予定だったものを2021年度に購入することとなった。また、コロナの影響で2020年度は国際会議のための海外渡航を行えなかったたが、その分の旅費を2021年度に使用する予定である。
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