研究課題
ヒトが物や機械などの物体を操作する際、我々の脳は物体の動きや物体が身体に及ぼす影響を予測しながら自らの身体を制御している。本研究では、運動中の脳波信号から物体の動きの予測に関与する脳部位、情報表現、脳部位間の情報の流れを可視化することで、外部環境の変化を予測する脳内メカニズムの計算論的なモデル化を目的とする。また、脳の構造的な変化をもたらすことが知られている運動トレーニングを行うことによって、物体の動きの予測に関与する脳機能も変化するかを検証し、運動学習や適応も含めた運動制御に関する脳内情報処理機構の理解を目指す。本研究では、具体的な研究課題として以下の三つ課題を設定する。まず、バーチャルリアリティを用いたボールキャッチング実験環境の構築(課題1)を行う。次に、ボールの動きの予測に関する脳内情報処理の可視化とモデル化(課題2)を行う。最後に、複数のボールのジャグリング運動をトレーニングすることによる脳機能の変化の検証(課題3)を行う。2023年度は、三つのボールによるジャグリングを仮想空間内でトレーニングする実験を実施するとともに、トレーニングによる脳活動の変化を調べるための脳波信号を解析を行った。その結果、ボールが空中を移動している際の頂点位置を表している可能性がある局所的な脳活動を抽出することに成功した。さらに、仮想空間内のトレーニング後にはジャグリングの上級者にみられる腕の運動に関連した局所的な脳活動を抽出することにも成功した。また、これらの成果をまとめた論文を執筆するとともに、国際会議や国内学会にて発表を行なった。
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すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)