研究課題/領域番号 |
19K04303
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研究機関 | 一般財団法人ファジィシステム研究所 |
研究代表者 |
古荘 純次 一般財団法人ファジィシステム研究所, 研究部, 特別研究員 (70107134)
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研究分担者 |
池田 篤俊 近畿大学, 理工学部, 講師 (20609903)
川平 和美 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (20117493)
菅 俊光 関西医科大学, 医学部, 教授 (40288816)
畑迫 健一 産業技術短期大学, 電気電子工学科, 教授 (30735527)
原田 孝 近畿大学, 理工学部, 教授 (80434851)
森岡 周 畿央大学, 健康科学部, 教授 (20388903)
原口 真 大阪工業大学, 工学部, 講師 (80467547)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 上肢リハビリ支援システム / 脳卒中 / ブレーキ / 振動刺激 / 受動型リハビリ支援システム / ローコスト / Pleasure / Motivation |
研究実績の概要 |
研究分担者の近畿大学理工学部機械工学科の原田孝教授、池田篤俊講師らを中心として、ブレーキで力覚を提示する直交座標系の3次元システムの研究開発を行う。2019年度は、システムの運動方程式を導出し、慣性行列を低干渉および等慣性化する機構設計方法を考案した。これにより,人間がリハビリ支援システムの先端を把持して力を加えたときの動力学的な干渉を小さくすると共に,どの方向に移動させても力学的に等慣性に設計することが可能である.差動ネジ駆動部に関して,ネジの力学解析を実施した。 研究分担者の大阪工業大学機械工学科の原口真講師は、研究代表者の古荘純次(ファジィシステム研究所特別研究員、大阪大学名誉教授)の協力を得て、ブレーキで力覚を提示する直交座標系の2次元のリハビリ支援システムの研究開発を行う。2019年度に原口講師は、多くのリニアガイドについて、リニアガイドの摺動抵抗、動作時の音について検討及び選定を行い、2次元システムの基本設計を行った。研究代表者の古荘は、システムに鏡面対称型健側補助、同側型健側補助を導入する方法、および冗長ブレーキを導入する方法を考案した。 研究分担者の産業技術短期大学電気電子工学科の畑迫健一教授、研究協力者の産業技術短期大学情報処理工学科の村山淳講師と、研究代表者の古荘らは、ローコストかつコンパクトな上肢リハビリ支援システムを目指して研究開発を行った。安価かつコンパクトなコンピュータ “ラズベリーパイ(Raspberry Pi4B:メモリ2GB版で約5,000円)”において、プログラム言語processingを使用したゲームが動作することを確認し、 「もぐらたたきゲーム」などを作成した。振動触感デバイスの評価を行い、問題なく動作することを確認した。ラズベリーパイにおいて、Pythonを使用して、リハビリ支援システムのソフトウエア開発が効率化できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
寝たきりになる原因の3割近くが脳卒中などの脳血管疾患で,全医療費の1割近くが脳卒中診療に費やされている。そこで、脳卒中患者を主な対象とする新規な受動型の直交座標系の3次元、2次元、1次元上肢リハビリ支援システムの研究開発を行う。また、医療費の負担を減らすため、ローコストかつコンパクトなリハビリ支援システムの研究開発も望まれているので、これについても検討を行う。 リハビリ支援システムは、人間と常に接触して働くため,安全性が最も重要となる。モータ等を用いるアクティブ型においては、暴走などの異常があった場合に患者に物理的な危険を及ぼすため,厳重な管理が必要である。一方、ブレーキ等を用いた受動型は、本質安全性を有し、医療機器としてクラスⅠとなり、自主訓練に適する。 受動型の3次元直交型リハビリ支援システムについて、設計と制御に関する周辺技術に取り組み,新たな知見を得ることが出来た。周辺技術の研究開発に注力したために、本体の機構設計については遅れているが、全体としては順調に進んでいる。 2次元の直交型リハビリ支援システムについては、リニアガイドの選択に時間をかけたが、設計は順調に進んでいる。また、システムに鏡面対称型健側補助、同側型健側補助を導入する方法、および冗長ブレーキを導入する方法を考案した。 ローコストかつコンパクトなシステムについては、予定より進んでいるところもあるが、新規なアイデアの導入のため、遅れているところもある。デザイン系の言語であるprocessing、あるいは機械学習に適した言語であるPython(Pygameをimportして用いる)の導入により、楽しく(Pleasure)、リハビリへの動機づけ(Motivation)ができるリハビリ用ソフトウエアの開発が容易となる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の研究期間は4年間であり、2020年度は、2年目にあたる。 ブレーキで力覚を提示する直交座標系の3次元システムについては、昨年度(2019年度)に得られた新しい知見をもとに解析を進め、3次元リハビリ支援システムの構築を目指す。 ブレーキで力覚を提示する直交座標系2次元のリハビリ支援システムの研究開発に関しては、2019年度のリニアガイド選択および機構設計を基礎として、2次元のリハビリ支援システムの構築を目指す。さらに、このシステムへの健側補助の導入に関しても検討を開始する。 ローコストかつコンパクトな上肢リハビリ支援システムを目指した研究開発に関しては、2019年度の研究をさらに進める。また、1次元の直線型リハビリ支援システムの研究開発についても開始する。さらに、振動刺激のリハビリ支援システムの導入についても検討を行う。また、新規な鏡面対称型健側補助、同側型健側補助のリハビリ支援システムに関しても検討を進める。 臨床評価については、新型コロナウイルス (COVID-19)の終息状況を見ながら考えて行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
3次元直交型リハビリ支援システムについて、設計と制御に関する周辺技術に取り組み,新たな知見を得ることが出来たが、この知見を取り入れた設計を行う必要があるため、設計が遅れた。そこで、部品購入が一部遅れ、次年度(2020年度)に使用することとなった。 2次元直交型リハビリ支援システムについて、リニアガイド等の部品の選択に時間が取られたため慎重を期して、次年度(2020年度)に購入することにした。 ローコストかつコンパクトな上肢リハビリ支援システムについて、振動アクチュエータの選択の遅れ、ラズベリーパイ4B(メモリ:8GB版)の発売が予想されながら発売が遅れたためなどにより、次年度使用が生じた。これらは、次年度(2020年度)に購入する。
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