最終年度である今年度は,まず進捗が遅れていた滑空ヘビ型ロボットの実験機の開発を昨年度に引き続き行い,その後に当初の研究計画に沿って滑空ヘビ型ロボットに関する滑空性能の検証および発展的な滑空技術の開発を行った. 生物のトビヘビの滑空を規範とする滑空運動を実現するために,開発課題であった軽量化を目的としたコンプライアント機構を用いた関節を導入し,機体の構造材をバルサ材やフィルムに変更した.また三次元運動を行う滑空ヘビ型ロボットとして,ピッチ軸方向の関節を省自由度化して関節配置を最小限にした実験機を開発した. 次に,当初の研究計画に沿って滑空ヘビ型ロボットの滑空性能を検証した.機体に搭載したIMUにより機体の滑空速度や姿勢を計測し,同時にロボットの滑空運動を外部から撮影し撮影動画を事後解析することにより,3次元的な滑空軌道を計測した.その後,論文や技術報告書にて報告されている生物のトビヘビの滑空運動に関するデータを収集し,滑空ヘビ型ロボットの滑空運動データと比較を行った.滑空速度に関しては一定の類似性が認められたが,滑空時の姿勢や滑空距離に関しては実際のトビヘビの滑空データと類似している点は少なく,また滑空距離はトビヘビのそれに及ばない結果となった.これは滑空中にロボットの機体に発生した揚力が不足していたことが主な原因であると推測しており,滑空時の重心位置や姿勢の制御に関する改良が必要である.これに関しては,滑空中の滑空ヘビ型ロボットの蛇行運動を調整することで問題を解決できる見込みが立っている. 最後に,滑空ヘビ型ロボットの発展的な滑空技術の開発として,跳躍による狭小な場所からの離陸技術,および蛇行運動による操舵制御を検討した.離陸技術では生物のトビヘビに特有なJループ跳躍,および操舵技術では滑空途中での蛇行運動の変更により実現を試み基礎的な知見を得た.
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