研究課題/領域番号 |
19K04313
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
小柳 健一 富山県立大学, 工学部, 教授 (30335377)
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研究分担者 |
杉岡 健一 富山県立大学, 工学部, 准教授 (80438233)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リハビリロボット / 力覚提示 / 機能性材料 / パッシブロボティクス |
研究実績の概要 |
本研究では,力覚提示を応用した上肢リハビリテーション支援ロボットの開発を目的としている.研究期間短縮のため,既に有するリハビリロボットのSEMULやEMULなどを転用する.手指には,アクティブ・パッシブな力発生要素を兼ね備えたハイブリッド力覚提示グローブ(HBG)を新たに開発する.これは制御性の高い機能性材料を用いたもので,低開発コストと高い安全性を併せ持つ. 3年度目においても,ハードウェア開発を主にした.HBGに用いるEHDアクチュエータは,専用に設計した電極を有するEHDポンプを内蔵するが,研究当初の電極では,概算圧力が2kV印加時に13mPaと非常に小さかった.これまでの改良で13Pa程度の圧力が得られたが,まだ不足であった.この電極は,アルミ円板にいわゆる皿モミ加工をした形状である.そこで,内外径と皿もみ穴径をそろえ,皿もみ部の傾きが異なる電極や,電極間に挟む絶縁シートの形状を変えたものを作製し,実験的に調査した.すると,90Paに達する電極形状を発見した.計測に用いた微差圧計の定格が55Paであるため,実際にはより大きな値であった可能性はある.いずれにせよ,発生圧力を昨年度から7倍以上にできるものを見つけられた. 一方で,十分大きな発生力を有するEHDアクチュエータを開発できない場合を考え,空気圧アクチュエータの応用を考えた.一般的な空気圧アクチュエータでは応答速度が遅く,変形の向きがHBGにそぐわないため,柔軟素材を用いた3Dプリンタにより自作した.発生力の大きさや変形量はリハビリに十分用いられるものが開発できた.ただし,応答を高速化できたが,力覚提示には不十分と考えられる.そのため,研究期間を延長してEHDアクチュエータの改良に再度取り組む. また,前腕部の力覚提示に用いるER流体ブレーキを導入するため,EMULやSEMULのハンドル部の再設計を行い製作した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実績の概要に記したように,EHDアクチュエータの出力が不十分であったために,その改良に時間を要した.しかし,研究の終盤で良好な設計解を得られたので,研究期間を延長して取り組む.
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今後の研究の推進方策 |
EHDアクチュエータについては,大出力化の方策が判明したため,引き続き研究開発を行う.完成次第,ERゲルブレーキ機構との統合をし,ハイブリッド力覚提示グローブを完成させる.それと並行して,空気圧アクチュエータをアクティブ要素に用いた場合も構成する. 前腕部の力覚提示には,ER流体ブレーキをSEMULおよびEMULのハンドル部と連結するための治具を製作し,ハイブリッド力覚提示グローブが完成次第,統合できるようにする. ハードウェアの完成後は,以前の研究で開発したソフトウェアを用いて,動作確認を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施に用いる.具体的には,EHDアクチュエータの発生力を増大させ,ハイブリッド力覚提示グローブをよりリハビリテーションに適した性能にすることで,本研究が提案するリハビリテーションロボットの低自由度化を適切に検証できるようにする.
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