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2020 年度 実施状況報告書

入出力電圧比10倍以上の高効率双方向DC-DCコンバータの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K04322
研究機関千葉大学

研究代表者

早乙女 英夫  千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50261938)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード双方向 / DC-DCコンバータ / フェライト / 動的磁気損失
研究実績の概要

令和2年度の研究実績の内容は,大きく2つある。
第1の内容は,双方向に電力伝送可能なDC-DCコンバータの開発に関するものである。まず,研究計画調書に記載した図1(d)の提案回路について,高電圧側VHから低電圧側VLへの電力伝送は問題ないが,本回路のVL側からVH側への電力変換動作に対して図1(d)には示されていない低圧側回路の配線インダクタンスにより低圧側FETのターンオフ時にその素子に過大な電圧が発生することが判明した。高圧側から低圧側への電力変換ではこの配線インダクタンスによる障害は原理上発生しないが,双方向動作として求められる低圧側から高圧側への電力変換時に特有に生じる現象である。図1(b) および(c)の回路においては,双方向電力変換が可能であることを回路シミュレーション解析および試作機実験によって検証された。部品点数が図1(b)より少ない図1(c)の回路方式について策定した仕様に基づく回路設計および試作を行った。詳細な回路解析により,仕様を満足して双方向電力変換を実現するためには,回路のブランチ(枝)抵抗値を高い精度で把握する必要があることが分かった。特に,高周波トランスに施す巻線にはリッツ線を適用するが,同じ巻数であってもその巻き方に交流抵抗値が大きく依存することが実験的に検証された。
第2の内容は,高周波電力用磁性体であるフェライトの電力損失に関するものである。フェライトの高周波電力損失である動的磁気損失に関する論文をまとめ,日本磁気学会(MSJ)の論文誌に投稿し掲載された。本論文では,動的磁気損失がヒステリシス損失とは異なる温度特性を示すこと,高周波では透磁率の減少が見られることなどの新規性ある科学技術情報を掲載した。また,これらの現象からヒステリシス損失を担う磁化ベクトルに加え,これとは異なる動的磁気損失を担う磁化ベクトルが存在する可能性を示唆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

双方向DC-DCコンバータの回路方式による実現可能性の可否を検証した。実現可能性のある回路方式に対し,シミュレーション解析および実機実験により,策定した仕様を満足する回路設計が行えた。さらに,高周波トランス巻線に適用するリッツ線の巻き方に対する実験的考察をした。
高周波電力用磁性体であるフェライトの動的磁気損失に関する新しい知見を得ることができた。この知見を基に,動的磁気損失に焦点を充てた低損失フェライトの開発に貢献できる可能性がある。

今後の研究の推進方策

双方向DC-DCコンバータの設計アルゴリズムの開発を行う。また,出力リプル電流が小さい双方向DC-DCコンバータの開発を行う。
フェライトおよび圧粉磁心のより詳細な鉄損解析を行い,特に,フェライトの電力損失を下げる材料開発に貢献する材料パラメータを見出す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Decomposition of Magnetic Field Intensity in Ferrite Based on Time Derivative of Magnetic Flux Density and Power Loss2020

    • 著者名/発表者名
      Saotome H.、Washizu T.
    • 雑誌名

      Journal of the Magnetics Society of Japan

      巻: 44 ページ: 102~107

    • DOI

      10.3379/msjmag.2007R004

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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