本研究を通して開発した回転機の磁界解析のためのハイブリッド並列計算システムの有用性を明らかにするために、PCクラスタの並列台数を6台から12台に増やして解析を行い、磁界解析の領域分割数(PCの並列台数)とPC内のThread並列数が解析時間に及ぼす影響を求めることによって、ハイブリッド並列の効果的な運用方法について検討した。その結果、①6台並列時より12台並列の方が計算時間が短くなることはもちろん、②12台並列によるハイブリッド計算時は領域分割数が増えるほど計算時間が長くなる、③ハイブリッド並列は1小領域当たりのThread数が多いほど高い並列性能を示す、④6台並列(領域数6)と12台並列(領域分割数48)の比較では、その差はほとんどなく、ハイブリッド計算はPC台数が少ない場合でもThread数を増やすことで高い並列効率が得られること、がわかった。 また、三相かご形誘導電動機のロータバーに流れる二次電流の振る舞いを測定するために開発されたアウターロータ固定型三相かご形誘導電動機(ロータを回転機の外側に配置して固定するとともに、ステータを内側配置にして回転させる三相かご形誘導電動機)の高速磁界解析を実現し、本誘導機電動機のロータバーやエンドリングに流れる特徴ある二次電流の振る舞いを明らかにすることができ、本システムの実用的な運用が実現できた。 以上の結果より、本研究の目的である実用的な回転機の磁界解析のための三次元ハイブリッド並列計算システムの構築は実現できたと結論づけられる。
|