重要なインフラである電力システムは,日々の点検・整備が極めて重要である。ただし,作業を行うためには通電を停止する必要があり,電力システムの信頼性が少し低い状態となるため予め作業計画を立てることが必須である。しかし,近年の太陽光発電の爆発的普及により作業当日の発電量や位置が予測できない,電力自由化の進展で調整可能な電源が前日にならないと分からないという時代が到来している。よって,これまでの考え方を転換し,どのようなシステム状態をベースに,どのような方法で作業計画を策定すべきかを検討することが本研究の目的であった。3年計画で研究を実施し,具体的には以下のような成果を得た。 電力系統の通電停止をともなう作業を行うための「停電作業系統」計画について,太陽光発電などの自然変動電源の大量導入に対応する技術および電力市場に対応する技術を開発するため,今までの前提条件(想定する需給断面)を見直し,新たに定式化を試みた。また,一例として簡単な例題系統に適用し,その効果を確認した。 続いて,学会発表などを通じてご意見をいただき明らかとなってきた「考慮が必要な点」について引き続き研究を進め,大規模な系統での検討も行った。結果,実際に近い大規模系統については,実施可能な作業系統が得られないという厳しい場合があることが判明し,その点についても学会発表を行った。 さらに,これまでの成果を国際会議や電気学会の論文誌へと投稿し,それぞれ採択され,発表および掲載となった。
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