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2019 年度 実施状況報告書

汚損湿潤がいし表面における放電の進展を考慮した動的放電モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K04329
研究機関長崎大学

研究代表者

山下 敬彦  長崎大学, 工学研究科, 教授 (50182499)

研究分担者 古里 友宏  長崎大学, 工学研究科, 助教 (70734002)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード汚損沿面放電 / 電極降下 / 水溶液 / 導電率 / 抵抗率 / pH
研究実績の概要

本研究の目的は,少なくとも片方の電極が水溶液の場合の放電の維持・進展等の動的特性も記述できる放電モデルを提案し,その検証を行うことである。
研究代表者は,これまで中性の電解質水溶液を用いて電極降下を求め,電極降下が水溶液の抵抗率に依存することを明らかにしている。しかし,酸性及びアルカリ性の水溶液の場合の電極降下と抵抗率の関係は求められていない。そこで2019年度は,溶質が酸性及びアルカリ性の水溶液に接触した放電の電極降下と水溶液の抵抗率の関係を明らかにすることを目標として,酸性及びアルカリ性の水溶液の抵抗率とpHの両方の条件を明確にして電極降下の測定を行い,抵抗率との関係を求めた。
具体的には,酸の代表として塩酸,塩基の代表として水酸化ナトリウムを用い,中性の電解質の場合と同様にパルス電圧を印加して水溶液面に放電を発生させ,放電終了時の残留電圧から電極降下を求める。蒸留水で希釈してpHを変化させるが,他のデータと比較するために抵抗率がおよそ100 Ωcm~10 kΩcmの範囲で変化させて実験を行った。
その結果,電極降下はpHに関係なく,溶液の抵抗率に依存することを明らかにした。ただし,いくつかの実験条件で再確認が必要であることが判明した。また,酸及び塩基を用いた場合も中性の電解質を用いた場合と同程度の電極降下になることを明らかにした。加えて,水溶液面上の放電の熱平衡状態,放電と水溶液との接触面積,水溶液面上の放電の発光特性など,水溶液面上の放電の動的モデルの開発に関連する他の事項についても調べ,それらの結果を学会等で報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画していたとおり,酸の代表として塩酸,塩基の代表として水酸化ナトリウムを用い,中性の電解質の場合と同様にパルス電圧を印加して水溶液面に放電を発生させ,放電終了時の残留電圧から電極降下を求めた。蒸留水で希釈してpHを変化させるが,他のデータと比較するために抵抗率がおよそ100 Ωcm~10 kΩcmの範囲で変化させて実験を行った。データは順調に取得できた。ただし,一部のデータで再確認が必要であることが判明したため,おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

現在,新型コロナウィルスの影響で実験を中断しており,再開のめどは立っていない。
再開できれば,確認が必要なデータに関して再実験を行う。その後,計画していたように,主としてシミュレーションと電流及び放電の広がりの観測結果から得られる電流密度の比較によるモデルの検証を行う。具体的には,シミュレーションによる電流密度の計算およびハイスピードカメラによる放電の広がりの高速度撮影と電流測定を実施し,シミュレーション結果と実験結果から求められる電流密度の比較・評価を行う。しかしながら,実験再開のめどが立っていないので,ハイスピードカメラのレンタルの予定を決めることができない。そのため,シミュレーションによる電流及び放電の広がりの計算を先に実施し,実験による観測ができない場合は,シミュレーション結果から得られる電流密度などについて,これまで得られているデータとの比較検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

計画通り使用したが,少額の端数が生じたため。
次年度使用額は,2020年度交付分と合わせて,電極降下の再確認のための実験の物品購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] Validation of the local thermodynamic equilibrium at a local current concentration area of positive pulsed surface discharge plasma on water2020

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Furusato, Kazushi Oura, Yoshinobu Matsuda, Mitsuru Sasaki, Yuki Inada, Takahiko Yamashita
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 59 ページ: 07-1 - 07-6

    • DOI

      10.35848/1347-4065/ab71d9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Simulation of voltage/current waveforms and contact area of pulsed surface discharge on water2019

    • 著者名/発表者名
      T. Furusato, Y. Yamamoto, T. Sakamoto, K. Oura, Y. Matsuda, T. Yamashita
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation

      巻: 26 ページ: 439 - 446

    • DOI

      10.1109/TDEI.2018.007748

    • 査読あり
  • [学会発表] 水上パルス沿面放電プラズマの局所熱平衡状態の評価2020

    • 著者名/発表者名
      大浦和志, 古里友宏, 稲田優貴, 松田良信, 山下敬彦
    • 学会等名
      電気学会 誘電・絶縁材料/放電・プラズマ・パルスパワー/高電圧合同研究会
  • [学会発表] 放電接触面積の推定による水上パルス沿面放電の特性解明2020

    • 著者名/発表者名
      坂本拓也, 古里友宏, 山下敬彦
    • 学会等名
      電気学会 誘電・絶縁材料/放電・プラズマ・パルスパワー/高電圧合同研究会
  • [学会発表] 水上沿面パルス沿面放電から発生する衝撃波および発光スペクトルの観測2020

    • 著者名/発表者名
      黒川崇文, 古里友宏, 山下敬彦
    • 学会等名
      電気学会 誘電・絶縁材料/放電・プラズマ・パルスパワー/高電圧合同研究会
  • [学会発表] Observation of shock wave generated by pulsed surface discharge on water2019

    • 著者名/発表者名
      Takafumi Kurokawa, Tomohiro Furusato, Yoshinobu Matsuda, Takahiko Yamashita
    • 学会等名
      The 11th Asia-Pacific International Symposium on the Basics and Applications of Plasma Technology 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] 汚損湿潤面におけるドライバンド放電の形態の遷移と電流の関係2019

    • 著者名/発表者名
      岩永 拓実, 小西凌, 古里友宏, 山下敬彦
    • 学会等名
      2019年度(第72回)電気・情報関係学会九州支部連合大会
  • [学会発表] 水上パルス沿面放電の 陰極降下電圧と電流密度2019

    • 著者名/発表者名
      古里友宏, 坂本拓也, 山下敬彦
    • 学会等名
      静電気学会全国大会
  • [学会発表] Evaluation of current density of pulsed surface discharge on water solution by analyzing voltage/current waveforms2019

    • 著者名/発表者名
      Takuya Sakamoto, Tomohiro Furusato, Yota Yamamoto, Kensuke Sasaki, Takahiko Yamashita
    • 学会等名
      International Conference on Phenomena in Ionized Gases (XXXIV ICPIG) and the 10th International Conference on Reactive Plasmas (ICRP-10)
    • 国際学会
  • [学会発表] Evaluation of local thermal equilibrium of pulsed surface discharge on water2019

    • 著者名/発表者名
      Kazushi Oura, Tomohiro Furusato, Takahiko Yamashita
    • 学会等名
      International Conference on Phenomena in Ionized Gases (XXXIV ICPIG) and the 10th International Conference on Reactive Plasmas (ICRP-10)
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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