本研究の目的は、自動車のボディーに取り付けられた太陽電池から最大限にエネルギーを引き出すことである。建物や街路樹によって走行中に生じる部分影や泥汚れによる発電量低下を防ぐために、小分割された太陽電池ごとにシール形の電力変換回路を張り付けて、高速に最大電力制御を行う。 最終年度では、開発した電力変換回路を小分割された太陽電池モジュールごとに取り付けて、電気自動車のメインバッテリーに充電するシステムの実証試験を行った結果、充電システムの最大電力変換効率92%以上の目標に対して、96%を達成することができた。また、実走行時のシミュレーションも行うことで、太陽電池の部分影や汚れに対する発電量の改善効果を定量的に明らかにした結果、発電量改善が見込めることが分かった。 なお、本事業で活用した、新しい車載太陽光発電システム用の分散発電方式は、シャープが日産自動車の協力のもと試作した太陽電池搭載車e-NV200(NEDO事業※1)の中に実装され、その有効性は、国際学会2件で発表されている(本試作は日産自動車が独自に実施したので、科研費事業からは試作費を支出していないため、謝辞には本事業名は未記載)。 ※1:NEDO事業:高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発/革新的新構造太陽電池の研究開発/超高効率・低コストIII-V化合物太陽電池モジュールの研究開発 事業期間:2015年度~2019年度
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