研究課題
本研究の目的は，高周波用金属磁性材料である圧粉磁芯を用いた高周波リアクトルの小形・低損失化設計を可能にするため，粒子の非線形磁気特性，渦電流，及びばらつきを考慮した均質化手法による圧粉磁芯の磁界解析法を開発するとともに，開発した磁界解析法を用いて高周波用リアクトルを設計し，その試作実験により，開発した磁界解析法と設計の妥当性と有用性を示すことである．本年度は，昨年度開発したインバータ回路に接続されたインダクタの磁界・回路連成解析法で寄生容量を考慮するため，変位電流を考慮した電磁界・回路連成解析法を開発し，インダクタで発生するリンギング現象を再現した．研究期間全体を通じて得られた主な成果を要約すると以下のようになる．（１）圧粉磁芯の均質化手法を確立するため，粒子一つのセルモデルの構築方法について検討した．初期磁化曲線とヒステリシス損失に関しては，平均粒径と同等な立方体セルモデルを用いて実測値を再現するセルモデルが構築できるため，渦電流損に関して検討し，古典渦電流損のみでなく，異常渦電流損も考慮し，さらに，粒子の大きさや形状のばらつき，絶縁物の厚みの不均一性，磁区幅，磁区の方向のばらつきを考慮すれば，結果として，実測値を説明できることを明らかにした．（２）インダクタンスの算出方法について検討した．圧粉磁芯の圧縮成形による粒子の変形によって生じる磁気特性の異方性を粒子モデルで表現する方法を提案するとともに，脚に圧縮方向が異なる圧粉磁芯を用いたインダクタを試作し，直流重畳時の増分インダクタンスの計算と実測を行い，圧縮成形による磁気特性の異方性の考慮の必要性を示すとともに，解析で実測値を再現できることを示した．また，本試作器では，脚の圧粉磁芯を，磁気特性が悪い圧縮方向を磁路に向けた方がインダクタの特性が良くなり，新たな設計指針を見出せた．
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
IEEE Transactions on Magnetics
巻: 58 ページ: 1～5
10.1109/TMAG.2022.3176853
