研究課題/領域番号 |
19K04359
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
深見 正 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60247434)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 電気自動車 / モータ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,回転速度に応じて磁極(界磁)から出る磁束を変化させ,幅広い運転領域において高効率で駆動できる,新原理/新構造の電気自動車向け可変磁束永久磁石モータを開発するものである。開発するモータは,通常の永久磁石モータとは異なり,研究代表者が独自に検討してきた「磁束変調原理」を利用して,電機子だけでなく,界磁を固定子に配置し,その界磁に設けた電磁石によって回転速度に応じて磁束を最適化しようというものである。 研究初年度(2019年度)は,同モータについて,次の要素研究を実施した。(1)有限要素解析(FEA)により,実験機製作のための設計技術を検討した。実験機の仕様と寸法は,大学の実験室で同モータの有効性を実証しやすいように定めた。具体的には,極数20極,基底速度900/最高速度2700 rpm,出力0.8 kW,外径200 mm,軸方向長さ74.8 mmとした。設計は,トルクと効率を目的関数とし,FEAにより検討した。(2)実験機を製作し,モータ定数,速度トルク,速度効率特性などを実測し,FEAによるシミュレーション結果と比較しながら,その基本特性を確認した。その結果,次のことが分かった。1)逆起電力は,界磁電流を変化させることによって幅広く調整できる。2)トルクは,電機子電流ベクトルと界磁電流を変化させることによって幅広く制御できる。3)電機子電流ベクトルと界磁電流を調整することで,基底速度以上で線間電圧の上昇を抑えながら設計どおりの定出力運転ができる。4)運転状況に応じて界磁電流を変化させることで,低トルク域における効率の向上が図れる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り,実験機の設計,製作及び動作確認テストが実施できた。得られた成果は,すでに学会(講演発表)で発表し,同分野の技術者・研究者から評価を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2020年度)は,開発するモータの有効性を検証するため,数式によりモデル化を行い,諸特性をより詳細に調査したい。具体的には,数式モデルにより損失の分析と効率マップを作成したい。得られた成果は,電気学会の支部大会,回転機研究会,全国大会,国際会議などで発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は,研究費の大半を実験機の製作費用に使用した。若干費用が余ったが,次年度の予算と合わせて,実験消耗品費などに有効に活用したい。
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