研究課題/領域番号 |
19K04360
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
大澤 直樹 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40454227)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 誘電体バリア放電 / 均一バリア放電 / ストリーマ放電 / 誘電体表面の電荷 |
研究実績の概要 |
半球棒電極とアルミナ被覆平板電極で構成される既開発の誘電体バリア放電(DBD)装置では,交流電圧の極性が正のときに均一バリア放電が電極間の空気層に発生し,極性が負のときにストリーマ放電が電極間の空気層に発生する。これまでの装置では,ストリーマ放電の発生回数や位置がばらつくため,均一バリア放電発生前後の誘電体表面電荷特性の測定結果が安定しない課題があった。2019年度は,DBD装置への印加電圧,半球棒電極の先端部半径ならびにギャップ長に着目し,ストリーマ放電の発生回数や繰り返し発生位置の精度を高めることと,それによる誘電体表面電荷特性の測定結果の安定化を試みた。その結果,(1)印加電圧が低いときは,半球棒電極の先端部と誘電体の間に1本のストリーマ放電が発生するが(以後単一ストリーマ放電と呼ぶ),印加電圧を高くしていくと,単一ストリーマ放電が発生した後に,半球棒電極のR部と誘電体の間に1本以上のストリーマ放電が発生することを明らかにできた。このことから,印加電圧の調整により,ストリーマ放電の発生回数や発生位置を制御できることがわかった。(2)半球棒電極の半径やギャップ長を大きくすると,単一ストリーマを発生できる印加電圧の範囲を拡大できることがわかった。(3)印加電圧を調整して単一ストリーマ放電を発生させることにより,均一バリア放電発生前後の誘電体表面電位の標準偏差を小さくできることがわかった。(4)誘電体表面電荷特性の解析精度向上により,単一ストリーマ放電が発生しているときは,均一バリア放電発生前後の表面電位分布が回転対称構造となることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
印加電圧やDBD装置構造の最適化により,ストリーマ放電の発生回数と発生位置を制御できた。誘電体表面電位の標準偏差を小さくすることができた。それらの成果により,半球棒電極とアルミナ被覆平板電極で構成される誘電体バリア放電装置において,単一ストリーマ放電が発生しているときは,均一バリア放電発生前後の表面電位分布が回転対称構造となっていることも明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
既開発の電源システムの設定を調整し,交流電圧印加直後から均一バリア放電が安定して発生するまでの誘電体表面電荷特性を明らかにする。また,均一バリア放電発生中の誘電体表面電荷の時間変化特性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
表面電位計(本体)の更新費用と消耗品費用を合わせて前倒し支払請求を行った。効率よく研究を進めることができたので,消耗品費用を抑制できた。これが次年度使用額が生じた理由である。繰り越される次年度使用額は,誘電体の表面抵抗測定装置の購入費用や,ガス・薬品などの消耗品購入費用として使用する予定である。
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