研究課題/領域番号 |
19K04363
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研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
太良尾 浩生 香川高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (00321498)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 連成解析 / 温度上昇 |
研究実績の概要 |
これまでに歯モデルに対して電圧印加した場合のモデル内電流密度分布を数値解析してきた。初年度は,この電流密度を熱源とした温度上昇を数値解析できるように,熱輸送方程式を基にした解析コードを作成した。なお,時間項では陰解法を用いるとし,連立方程式を解くようにBiCG法を適用した。さらに,媒質の導電率が温度依存であることを考慮して,電流密度計算→温度計算を繰り返えす連成解析システムとして構築した。 次に,解析結果の妥当性を検証するために,単純なモデルで温度上昇を測定して解析結果と比較検討した。具体的に,直方体容器に食塩水を注入し,その両側の面に平行平板電極を取り付けて電圧を印加することで,食塩水内の温度上昇を熱電対で測定した。結果として,測定では境界面から熱がやや逃げるものの,測定結果と解析結果が一致していることを確認した。この場合,電極間に電界が一様になるので,温度上昇は均一に上昇する。したがって,次に電極の面積を変えることで,空間的な電界分布(電流密度分布)を非一様として,温度上昇が不均一に起こる状態を作った。これにより,温度の高い箇所から低い箇所で拡散が起こるので,電気エネルギーから熱エネルギーへの変換だけでなく,熱の拡散項への影響についても解析結果の妥当性を検証することが可能になる。結果として,温度が空間的に急勾配となる箇所についてはいくらかの測定誤差と考えられる差異が生じたが,それ以外の箇所では温度の測定結果と解析結果はおおむね一致した。 以上のように,解析結果について一定の妥当性が検証されたので,標準的な歯モデル(歯,歯槽骨,歯肉,皮質骨などで構成)を作成し,連成解析を行った。その結果,印加直後ではモデル内の各点における温度上昇は発生する電力密度に比例するが,ある程度時間が経過すると温度勾配により拡散が起こることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連成解析プログラムを構築し,妥当性の検証もできている。詳細は上述の概要のとおり。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,歯モデルへの印加条件として電圧の大きさや時間的な印加パターン,モデルの導電率などの定数パラメータ,並びにモデルの形状(特に根管の大きさ)を変えた場合について,連成解析を行い,それぞれの特性を把握していく。特に本年度では,モデルのうち歯は湿潤状態により導電率が変化する可能性があるので,歯の導電率を変化した場合について検討する。さらに,歯モデルを詳細なモデルと単純なモデルの両面から,連成解析結果の傾向(特性)が同じになるのかどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度3月に成果発表を行うため,学会への発表登録および参加登録をしていた。しかし,新型コロナウイルス感染症対策のために学会は中止になり予定していた旅費が未使用になった。
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