研究課題/領域番号 |
19K04369
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
齋藤 健太郎 東京電機大学, システム デザイン 工学部, 准教授 (40756665)
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研究分担者 |
高田 潤一 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (90222083) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 無線通信 / 電波伝搬 / 伝搬シミュレーション / 物理光学近似 / 開口面法 / ポイントクラウド / ミリ波帯伝搬 / 散乱特性 |
研究実績の概要 |
今年度は,昨年度確立した伝搬チャネル予測手法の高度化を行った.レーザスキャナ等で計測した周辺環境の3次元ポイントクラウドには家具や小さな構造物等による複雑な凹凸が多数存在している.これらの凹凸による伝搬の散乱特性を計算するために物理光学近似に基づく電波伝搬シミュレーション手法が検討されているが,計算を行う際には物体表面を波長オーダーの微小なメッシュに分割して計算を行う必要がある.そのため周波数が高くなると計算コストが増大する問題がある.また,実測されたポイントクラウドには数mm 程度の計測誤差があるため,歪みの小さいメッシュを構成するのに複雑な前処理が必要であった.本研究では上記の問題を解決するために,Aperture Field Integration Method (AFIM)法を用い,周辺物体表面からの散乱波を平面波スペクトルに分解して取り扱う手法を提案している.平面波スペクトルに分解した際にポイントクラウドの位置誤差による影響は白色雑音として取り扱う事ができ,信号処理で容易に取り除く事ができる.本年度は昨年度に取得した電波伝搬チャネル測定データとレーザスキャナを用いて計測した実環境のポイントクラウドデータを用い,提案手法の適用性の検証を行った.家具や窓ブラインド等,従来の手法では計算の難しかった複雑な形状を持つ物体に対しても提案手法が適用でき高精度に伝搬チャネル予測を行う事ができる事を示した.本研究成果を用いより広い環境での伝搬チャネル予測を計算し,無線ネットワークの自動構築技術への適用する事が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はCoVID19流行の問題や研究代表者の異動等により大規模な実験を行う事は困難であったが,昨年度までに取得した実験データを用い提案する伝搬チャネル予測手法の適用性や精度評価を行う事ができた.研究成果の展開については欧州科学技術研究協力機構(COST)への寄書や国際会議での発表行っており,次年度で完了できるペースで進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本年度に開発した伝搬チャネル予測アルゴリズムを用いて屋内・屋外の様々な伝搬環境で実験と検証を行い精度についての詳細な評価を行ってゆく予定である.また,広い伝搬環境へ提案手法を適用するにあたってさらなる計算効率の向上も行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はCoVID19流行の問題やそれに伴う世界的な半導体部材の不足,研究代表者の異動等の要因が重なり機材の調達に遅延が生じた.これらの問題は現在解消に向かっており, 本差額は次年度の伝搬実験に利用するべく既に準備を進めている.
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