研究課題/領域番号 |
19K04371
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宮北 和之 新潟大学, 学術情報基盤機構, 助教 (10588289)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 情報フローティング / 情報フェリー / エピデミック通信 / 複数の移動体流 |
研究実績の概要 |
情報フローティングとは,移動端末による直接無線通信だけで情報を拡散していくエピデミック通信において,情報を拡散させる領域を限定することによって,無駄な情報拡散を防ぎつつ所望の地域だけに情報配信を行うという手法である.複数の移動体流が存在する場合,地理的に離れた移動体流において情報フローティングを開始・継続させるためには他の移動体流から情報を運び込む必要があるが,本研究では,エピデミック通信における特殊移動端末として考案された情報フェリーを活用することにより,情報フローティングを実現するための手法を開発することを目的とする.令和元年度は,以下のような成果を得た. (1)一つのフローティング領域における情報フローティング継続時間の解析手法の開発を行った.比較的単純な格子状道路網における解析は既に行っていたので,この結果を拡張して,一方通行を含むようなより複雑な道路網における情報フローティング継続時間の解析手法を開発し,評価を行った.また,道路に沿って移動する自動車と,道路以外の場所も移動できるUAV(無人航空機)が混在するような状況における情報フローティング継続時間の解析手法も開発し,評価を行った. (2)複数の移動体流が存在する場合において,フローティング領域が既に与えられている状況を考え,各フローティング領域を巡回するような情報フェリーの移動経路および移動スケジューリングの最適化手法の開発を開始した.情報フェリーとしてUAVを考え,災害等により分断された地域間で情報フローティングを開始・継続させるためのUAVの飛行経路の設定手法を開発し,評価を行った. (3)ある地域で新しく情報フローティングを開始させる際の,フローティング領域の効率的な設定手法の開発を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
情報フローティングフェリーを用いた情報拡散・共有手法を開発するための前段階として必要となる,一つのフローティング領域における情報フローティング継続時間の解析手法の開発,および,複数の移動体流とフローティング領域が与えられている場合の情報フェリーの移動経路の設定手法の開発を行うことができたため.また,ある地域で新しく情報フローティングを開始させる際に必要となる,フローティング領域の設定手法についても開発を進めることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度研究実績(1)~(3)の内容について引き続き様々な移動体の種類や移動パターンについて検討・開発を行うと同時に,情報フローティングフェリーを用いた情報拡散・共有の手法の開発を開始する.ここでは,情報フローティングを長時間継続させるだけでなく,情報フローティングをある地域で新しく始めるための効率的なフローティング領域の設定手法についても考慮しつつ開発を進める.その後は,情報が時間的に変化・更新する場合や,情報フェリーごとに移動の制約がある場合,情報を受け取った移動体の行動変化も考慮した場合等,様々な場合に応用した開発を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費の支出が当初計画よりも少なくなったため次年度使用額が生ずることとなった. 次年度使用額については,より高性能なワークステーションを購入するために使用し,研究のスピードアップを図る.
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