研究課題/領域番号 |
19K04377
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
宮田 高道 千葉工業大学, 先進工学部, 教授 (90431999)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 確率的最適化 / テンソル / 画像処理 / 信号処理 / テンソル復元 |
研究実績の概要 |
カメラやセンサによって取得した多次元信号やインターネットのトラフィックデータには,欠損やノイズなどの劣化が含まれることがある.そのような劣化は, 信号・データの有効活用,すなわちデータからの認識や知識獲得を妨げる大きな要因となっている.本申請課題の目的は,低計算量で低ランクテンソル近似を実現する枠組みである非分解型テンソル復元アルゴリズムに対し,さらに確率的最適化の枠組みを適用することにより,復元性能を犠牲にすることなく,テンソル復元アルゴリズムの計算量・メモリ使用量を大幅に改善する手法を提案することである. 本年度は,非学習型画像のノイズ除去手法として一般的な自己類似性を利用したノイズ除去手法に共通の問題である,ノイズとともに画像の質感を表すテクスチャが失われる問題を解決する手法を提案した.原画像と既存のノイズ除去手法の出力画像(ノイズ除去画像)の差分を残差テクスチャと定義し,Steinの補題といくつかの仮定を用いることで,残差テクスチャの統計的モデルのパラメータを推定する手法を提案した.これにより,画像ノイズ除去においてテクスチャの復元を行うことを可能となった.その成果を論文誌(MDIP SIGNALS)に投稿し,採録された.また,本課題の研究内容と関係する研究成果として,テンソル核ノルム正則化を用いたテンソル復元において,Algorithm unrollingによるパラメータの最適化を行う研究,および異なる正則化方式との性能比較などを行い,得られた結果に関する複数の研究発表を国内の学会において行った.以上のような実績が得られた一方で,本申請課題で扱う範囲は当初予定より拡大している.そのため,申請課題を完遂するために研究期間の延長をおこなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重み付きテンソル核ノルム正則化を用いたテンソル復元において,Algorithm unrollingによるパラメータの最適化に関する研究や,異なる正則化方式のとの比較などを行い,いずれも良好な結果が得られている.以上のことから研究そのものはおおむね順調ではあるが,当初予定できなかった本研究適用範囲の拡大により,申請課題を完成させるための研究期間の延長を行った.
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今後の研究の推進方策 |
投稿準備中の論文の投稿を行う.次年度は確率的非分解型テンソル復元アルゴリズムの開発を行い,計算量とメモリ使用量の両方を削減するアルゴリズムについて検討を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
引き続き,コロナウイルス感染症のために予定していた出張ができなかったことや,実験・研究の手順の一部が行えず,論文投稿を来年度に繰り越したことで機材取得にかかる費用や論文投稿費用を支出しなかったため. 未使用分については,GPUやストレージなどの機材の購入や,成果発表の費用に充当する予定である.
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