カメラやセンサによって取得した多次元信号やインターネットのトラフィックデータには,欠損やノイズなどの劣化が含まれることがある.そのような劣化は, 信号・データの有効活用,すなわちデータからの認識や知識獲得を妨げる大きな要因となっている.本申請課題の目的は,低計算量で低ランクテンソル近似を実 現する枠組みである非分解型テンソル復元アルゴリズムに対し,さらに確率的最適化の枠組みを適用することにより,復元性能を犠牲にすることなく,テンソル 復元アルゴリズムの計算量・メモリ使用量を大幅に改善する手法を提案することである. 本年度は、インターネットトラフィックのデータ転送量を記録したトラフィック行列(以下、TM)の欠損値を補完する問題に対して、TMを時間方向に分割して連結したテンソルに対して重み付きテンソル核ノルムを正則化に用いる手法を提案し、国際会議IEEE CCNC(Consumer Communications and Networking Conference)に採録された。さらに、画像ノイズ除去の分野では、深層学習を用いて獲得された知覚品質評価指標を損失関数として用いることで、出力画像の知覚品質を大幅に向上させる手法を提案し、その成果をIEEE CCNCに投稿し採録された。その他、テンソルロバスト主成分分析において、重み付きテンソル核ノルムを持ちいた際の復元性能に関する研究等を行い、それらの成果を国内会議で発表した。
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