本研究課題は,第5世代移動通信システム(5G)の高速・大容量化の鍵を握る非直交多元接続(NOMA)を採り上げ,NOMAと直交多元接続(OMA)の組み合わせにより,システム容量の向上を図る方式を提案し,その有効性を明らかにするものである.昨年度は,提案方式のさらなる高度化を図るべく,複数のアンテナを用いた送信ダイバーシチを適用したときの提案方式の有効性をユーザ分布が不均一となる現実的な条件下において検証した.特性評価の結果,提案方式のスループットが送信アンテナ数やユーザ分布の広がりの度合いに関わらずNOMA 単独やOMA 単独のスループットよりも良好となることがわかった.引き続き本年度は,複数送信アンテナをベースとして,これまで想定してきた同時接続数を3ユーザから4ユーザに増加させた場合のNOMAとOMAの併用方式について検討を行った.具体的には,NOMAとOMAを時間軸上でシステム容量に基づき切り替える方式を提案するとともに,その有効性を計算機シミュレーションにより評価した.特性評価の結果,提案方式は送信アンテナ数に関わらず,提案方式は,NOMA と OMA の各々の利点を吸収でき,NOMA 単独および OMA 単独の場合と比較して良好なスループット特性を示すことがわかった.また,送信アンテナ数が増加すると,提案方式において,ユーザ間干渉が深刻となる NOMA よりもユーザ間干渉の影響のないOMA が有用となることがわかった.
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