2重選択性の厳しさは伝搬環境の時間変動と遅延時間広がりから規定され,最大ドップラー周波数と遅延時間差の積(パラメータfDτD)にて定量的に評価できる.従来の移動体通信では0.5%程度以下のfDτDを検討するのが一般的であり,1%以上のfDτDに対応することは困難であった.本研究の成果により,従来技術が対応可能なfDτDの約5倍の約5%程度のfDτDに対応する無線伝送方式が確立できた. 本研究の技術確立により,時速500kmを超える移動速度で数十kmのカバーエリアを実現する高速鉄道用の空間波列車無線,移動速度が3knotを超える水中音響通信にて,高品質・高信頼通信を実現することが可能となる.
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